緊急事態宣言の最中、新聞記者らと賭け麻雀をしていたことが週刊文春に報じられ、東京高等検察庁の黒川弘務・検事長が辞任した。猛烈な批判を浴びて今国会では成立見送りとなった検察庁法改正案のキーマンのスキャンダルだけに、与党・自民党には衝撃が走った。
中でも肩身が狭いのが自民党の「麻雀議連」だ。正式名称は「自民党 頭脳スポーツとしての健全で安全な麻雀を推進する議員連盟」。
麻雀プロリーグ「Mリーグ」誕生やネット環境の充実による「e麻雀」の普及などを踏まえ、健全な環境のもとで頭脳スポーツとしての麻雀を普及・振興し、国民の健康と幸福の向上に寄与するという目的のもと、2018年12月に設立された。永田町関係者が語る。
「去る3月17日にも会合が開かれたばかりで、その日は新型コロナの感染拡大や対策について業界関係者からのヒアリングが行なわれた。新型コロナの影響で業績が悪化している中小企業の支援対策である『セーフティネット保証5号』の対象業種に雀荘を追加してほしいという、全雀連(全国麻雀業組合総連合会)からの要望書も提出されました。
『三密』が避けられない麻雀業界への風当たりは強く、緊急事態宣言で休業している雀荘も多いなか、今回の賭け麻雀スキャンダルは最悪のタイミング。議連は麻雀を“健全な知的スポーツ”とアピールしていたので、今後の活動にも影響が出るのではないか」
麻雀議連の“元幹部”が、検察庁との因縁を抱えているというのも皮肉だ。
「議連の発起人で、設立当初から事務局長を務めていた秋元司・衆議院議員が昨年12月、中国の『500ドットコム』の日本法人役員から賄賂を受けていたとして東京地検特捜部に収賄容疑で逮捕された。秋元議員は自民党を離党したためすでに議連メンバーを外れているが、起訴した検察の幹部と被告人の共通点が“麻雀”というのも……。業界のイメージダウンは避けられない」(同前)
その秋元議員、昨年1月には麻雀議連として「2022年の北京オリンピックで麻雀を正式種目にするよう目指す」と語り、“賭けない健全な麻雀”を推進する姿勢を示していた。が、他ならぬギャンブル施設であるカジノを含む統合型リゾート(IR)をめぐって札束を受け取った汚職の疑いで起訴されたわけだ。