誰もが夢見るものの、なかなか現実にならない夢の馬券生活。調教助手を主人公にした作品もある気鋭の作家、「JRA重賞年鑑」にも毎年執筆する須藤靖貴氏が、無観客競馬で場外馬券場の閉鎖が続くため、ガラケーを使ってネット投票に挑戦した体験についてお届けする。
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初夏はスポーツを絞りこむ季節だ。あれこれと追いかけると時間がいくらあっても足りない。
去年のチョイスは大相撲、東京六大学野球、そしてもちろん競馬。外したのはプロ野球、サッカーなど。大好きなアメフトでさえ泣く泣く弾いたのだった。ところが今年は競馬のみ。ここに集中するしかない。有り難いことだけど。
加入した即PATの画面に「携帯電話で購入」とある。レトロなアナログ感に目が止まった。私の携帯はスマホではなく「ガラケー」。かつてスマホがない時代のプッシュホン投票と同じ塩梅らしい。いっちょやってみた。時間、馬に食わせるほどあるし。
誘導画面はすぐに出てくる。加入者番号や暗証番号などを入力して送信。すると投票画面となり競馬場を選ぶ。要するに端末である。財布(口座)は私のものだから、友人の携帯を借りてでも投票できる。
コード入力する。1Rは「01」、12Rが「12」。そして式別。単勝「1」、複勝は「2」。枠連「3」、馬連「4」といった感じ。やや複雑なものだと馬連ボックスが「94」、3連単フォーメーションが「908」。こいつは暗号ですね。気分はスパイである。
ある日の東京競馬場、1R「01」、4番と7番のワイドを500円。ワイドの「5」に、「0407」と入力。次は枚数(金額)だ。1枚100円なので500円は「005」。うっかり「500」とやると5万円になっちゃうから基本は「00」からでいい。まさにコードネーム。それならばと700円に変更した。「007」! つまり「1レースで4番7番のワイド700円」は「0150407007」。ちなみに式別「3連複軸1頭ながし」のコードも007だ。