「ヒロインが韓国でパラグライダーに乗っていたら、突然竜巻に巻き込まれ北朝鮮に不時着した」──。童話ばりの絶対ありえない設定にもかかわらず、昨今の“Stay Home”を受けて、新規の老若男女の韓ドラファンを感動の渦に巻き込んでいる韓国ドラマ『愛の不時着』。その魅力を韓国エンターテインメント・ナビゲーターの田代親世さんが解説する。
◆現代版ロミオとジュリエットが織りなす究極のファンタジー
20年以上韓国エンタメの第一人者として活躍を続ける田代さんは、いまの『愛の不時着』の大ブームを「全世界的なおこもりの中で、Netflixで配信されたことがとても大きい」と語る。
「ちょうど2003年に『冬のソナタ』が初めて日本で放送されたときも、『NHKのBSで放送される』という影響力が大きかったのとよく似ています」(田代さん、以下同)
潤沢な撮影資金でスイスやモンゴルでの海外ロケも行う映画並みのスケールや、人気と実力を兼ね備えた2人の魅力的な俳優の共演など、見どころは山ほどある。田代さんはさらにこう付け加える。
「お話はまさに現代におけるロミオとジュリエット。SNSで世界中が瞬時につながる時代に生きているのに、いま、別れてしまったら連絡を取る手段がない“近くて遠い”関係性がそこにある。限りなく丁寧に現代を描きつつ、私たちの常識では考えられない朝鮮半島の現状に、日本だけでなく世界中が驚きとともに共感したのでしょう」
【あらすじ】
大手ファッションブランド「セリズチョイス」のCEOユン・セリ(ソン・イェジン)は、自社製品のテストのために操縦したパラグライダーが竜巻に巻き込まれ、北朝鮮に不時着してしまう。北朝鮮のエリート軍人リ・ジョンヒョク(ヒョンビン)に助けられたセリは、ジョンヒョクの家にかくまってもらうことに。ジョンヒョクやその部下らとともに韓国へ帰る方法を探るうち、やがてふたりは惹かれ合うようになるが、ジョンヒョクの親同士が決めた許嫁ダンが留学先から戻り、ふたりの前に姿を現す。