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あさのあつこ氏、休校中の子供達へ「自分の心を書き殴って」

作家のあさのあつこさんが子供たちへメッセージ(共同通信社)

 新型コロナウイルス感染防止のため、多くの学校が長期休校となり、子供たちも大きな不安を抱えていることだろう。そこで、児童文学作家あさのあつこ氏(66才)が、子供たちにメッセージを送る。

【プロフィール】
 岡山生まれ。小学校講師ののち、作家デビュー。野球に打ち込む少年たちを描いた代表作『バッテリー』(角川書店)シリーズは幅広い世代の支持を得て、児童文学としては異例の累計1000万部のベストセラーに。

 * * *
 あなたたちの周りで一生懸命、普通の日常を取り戻そうとしてがんばっている大人たちがいる。そのことを信じてほしいと思っています。まったく同じような元の世界には戻らないかもしれないけれど、いま、私たちは真っ暗闇の中にいるわけじゃない。灯りはともっています。どうかそれを信じて。
 
 もしかしたら、あなたのご両親は、疲弊しているかもしれません。いつもよりイライラしているかもしれない。

 私には3人子供がいますが、すでに巣立ちました。もしこの子たちが全員、毎日家にいて、朝昼晩のご飯を食べさせて、しかも勉強もある程度見ないといけないとなると、すごい疲労感だろうなと感じます。最初のうちだけはがんばれるかもしれませんが、長くは続かないと思います。

 せっかくだから家族の時間を楽しもう。そんなふうに言う人もいますが、それは一部の人たちの夢物語です。だから自分の親がヘトヘトになっていて、楽しむ余裕がなかったとしても、自分の家族と、ほかの家族を比べないでください。うらやましく見える家族があるかもしれないけれど、それは見えていないだけ。誰もが大変なのです。

 考え方を変えてみれば、新型コロナウイルスのこの体験は、誰もができることではありません。世界中の誰も経験したことのないことを、あなたたちはいま、体験しているのです。これは人類の「あやまち」かもしれません。でもだからこそ、このことを忘れないでほしい。

 みなさんにすすめたいことがあります。それは「書くこと」です。

 学校の作文じゃないから、うまく書こうとか、「最初はひとます空けて…」とか、そんなことは気にしなくていい。

 字が汚くたって平気。間違えてもいいし、平仮名だけだっていい。スマホの中に打ち込んだっていい。

 ルールは2つだけ。
(1)1日1回書く。
(2)日付を入れる。
 これだけです。

 なんでもいいから、その日あったことを、1行だけでいいから書いてみる。
「友達と会えなくて、寂しい」でもいい。
「お母さんとけんかした」でもいい。
「縄跳びの二重跳びが2回できた」でもいい。

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