現在では一般的になった視聴者参加型番組だが、その元祖は関西発の「恋愛バラエティ」だった。そのパイオニア的存在が、1955年からABCラジオで続いた人気番組のテレビ版としてスタートした『夫婦善哉』(1963~1972年、朝日放送)だ。
司会はミヤコ蝶々・南都雄二。夫婦漫才コンビの2人(1958年に事実婚を解消)だからこそ、一般の夫婦からリアルなエピソードを引き出せた。
「出演するのは熟年夫婦が中心でした。当時は公共放送での下ネタはまだ御法度でしたが、旦那さんの浮気や博打など赤裸々な暴露話が主なトークテーマ。南都さんに浮気された蝶々さんが鋭いツッコミを入れて笑いに変えていた」(京都府在住の元メーカー社員・73)
同番組が切り拓いたジャンルに新風を吹かせたのが『新婚さんいらっしゃい!』(朝日放送)だ。
桂三枝(現・文枝)司会で、1971年から50年にわたって放送され、同一の司会者による最も長寿の番組としてギネス世界記録に登録された。
「1960年代までは性の話や、婚前交渉はもっての外という時代だったけど、この番組では性の話題も関西弁や方言でサラッと話す。親にバレないようにとドキドキしながら見ていた」(大阪府在住の会社員・62)
桂文枝は、番組20周年インタビューで、印象に残ったカップルのエピソードを挙げている。