8月10日に開幕が予定された102回目となる夏の甲子園の中止が決まった。
「できることならば、結論を先伸ばしにしてもらいたい気持ちはある。しかし、多くの学校が練習もできていない現状では仕方ないことかもしれません」
そう語ったのは県立岐阜商業の監督である鍛治舎(かじしゃ)巧だ。熊本の秀岳館を3季連続甲子園ベスト4に導いたあと、2018年に母校の指揮官に就任した鍛治舎にとって、今年の3年生は入学から指導した最初の代で、春のセンバツでは甲子園に“帰還”することが決まっていた。
だが、開幕の8日前に中止が決定。そして夏までも──。3年生が過ごしてきた2年半の集大成の場として、時期をずらしてでも地方大会だけは死守してもらいたい。それは全国の監督に共通する願いだった。
「県大会だけだと、3年生だけで編成したチームが出てきたりして、どうしても親善試合のムードになってしまう。球児の夢をつなぐという意味では、(例年は開催されない夏の)東海大会を開催してほしい。東海地区は、4県の高校が日帰りで集まることが可能ですから。しかし、県をまたぐ移動が伴いますからね……」
今年の高校3年生は、一度も聖地での全国大会が開催されない不遇の世代となってしまった。甲子園という晴れ舞台は、ドラフト指名を待つ球児の、あるいは強豪大学への進学を目指す球児にとっての、最終テストの場だ。中止は当然、球児の進学に大きく影響してくる。全国随一の投手陣を誇り、東北勢初の全国制覇の期待を背負う宮城の仙台育英監督・須江航(わたる)が語る。