《医療現場で働かれる皆さんには、危険も伴う大変重い任務を担ってこられました。皆さんの懸命な医療活動は、多くの患者さんの命を救ってこられたものと思います》
5月21日、雅子さま(56才)のお言葉が宮内庁のホームページにて公開された。日本赤十字社(以下、日赤)幹部から新型コロナウイルスについて「ご進講」を受けられたときのものだ。
「非公式の場での雅子さまのご発言が発表されるのは、前代未聞のこと。平成時代を含め、ご進講でのお言葉が公にされたことは過去には一度もありませんでした」(皇室ジャーナリスト)
ご進講当日、雅子さまはお言葉の書かれたメモを手に持たれ、読み上げられたという。
「そもそもご進講とは、その道の専門家から両陛下や皇族方が講義を受けられるものであり、ご意見を表明される場ではありません。それでも、新型コロナの治療に奔走する医療現場に関して、雅子さまはどうしても伝えたいことがおありだったのでしょう。ご自身の発言の異例の公開は、強い希望があって実現したのだと思います」(前出・皇室ジャーナリスト)
お言葉が公開された翌22日、雅子さまのお姿は皇居内の紅葉山御養蚕所にあった。歴代の皇后に受け継がれるご養蚕の一環として、育てている蚕に桑の葉を与える「ご給桑(きゅうそう)」に取り組まれた。
「11日には『御養蚕始の儀』に出席されたものの、続く18日のご給桑は直前で延期。ご体調が心配されていましたが、22日は無事出席され、養蚕所に向かう車内では笑顔を見せられていました。ご体調次第ですが、美智子さまのときのように、今後は養蚕所内でのご様子が公開されることも期待されます」(別の皇室ジャーナリスト)
実は、前出の日赤幹部のご進講も、“延期”されたものだったという。
「両陛下が初めて新型コロナについてご進講を受けられたのは4月10日のことで、日赤のご進講は1か月以上経ってから。日赤は医療現場の中心的存在なので、もっと早く実現してもよかったのです。
ところが両陛下は、あくまで“現場優先”を望まれ、日赤関係者へも“ご進講のためにほかの予定を変更することのないように”と伝えられていたそうです。そのためにタイミングが合わず、日程が後ろ倒しになったそうです」(宮内庁関係者)
両陛下はこれまで、地震や台風などの厄災に苦しむ人々がいれば、できるだけ現地に足を運び、励ましの言葉をかけてこられた。しかし、感染症となると、ご自身の感染リスクもあり、現場に向かうということはできない。
「それでも感染者や医療従事者、感染に怯える国民を広く励ましたいというお気持ちの発露が、ご進講の際の『お言葉の公表』という“最終手段”だったのでしょう」(前出・別の皇室ジャーナリスト)
◆激務だけでなく「心の苦しみ」を心配
雅子さまにとって、日赤という医療機関の存在も特別なものだ。
「雅子さまは日赤の名誉総裁を務められています。香淳皇后(昭和天皇の皇后)が初めて名誉総裁の職を引き受けられ、平成時代の美智子さまへと受け継がれたものを、昨年、雅子さまが継承されました。
皇太子妃時代から強いかかわりを持ってこられた日赤の医療スタッフが置かれている状況を、皇后の責務としても、強く案じられているのでしょう」(皇室記者)