体験取材を得意とする“オバ記者”ことライターの野原広子(63才)が、世の中の出来事にゆるくツッコミを入れる。今回のテーマは「政治家たちはマスクに無頓着すぎる」だ。
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名は体を表す、っていうけど、いまや「マスクは人を表す」。新型コロナが広まった3月半ばからマスクに注視し続けてきた私にはそう見えるんだわ。特に使い捨てマスクがドラッグストアから消えた4月初めからはそう。みんな、使い捨てマスクにハンカチでカバーをつけたり手製のマスクをつけたりと工夫しだして、口元に“お人柄”が出てきたのよ。
その中で頭ひとつ抜け出したのは、男性では西村康稔経済再生担当大臣兼新型コロナ対策担当大臣ね。シュッとした顔によく似合う“大臣マスク”を世に認識させた功績は大きいと思うよ。型紙のいらないあのマスクの作り方がYouTubeにはいっぱい上がっている。ってことは、それだけ作り手がいるってことだよね。
議員会館でパートをしている私に、友達は「国会議員は支持者からいろんなマスクが届くんでしょ?」と言う。西村大臣のように手製のマスクをしている人もいるけど、たいがいの議員は無個性のサージカルマスク。なかには、使い古した手ぬぐいを折りたたんで“マスクもどき”にしている、なりふり構わない議員もいるけどね。
高齢者は「マスク大嫌い」な人が多いね。その代表が麻生太郎財務大臣。話しているときに鼻の下に下げようとして、また上げて、結局は“あごマスク”。息苦しくないマスクをなぜ探さない?
そうそう。女性でマスク姿が印象的なのは、小池百合子東京都知事。最初のコロナ会見でつけていた立体マスクについて「手製ですか?」と聞かれ、「あ、はい」とはにかみながら答えた様子がやけに印象的だったらしく、私の周囲ではちょっとした話題になったの。「小池さんのマスク、手製って、知事って意外と女らしいのね」って、知事本人が作ったと思ったみたい。でも、マスクの出来をちゃんと見てよ。素人離れしているし、第一、公務を終えて自宅に帰った小池さんがミシンに向かう? あり得ないって。ま、それはともかく、発表から約2か月たったいまも一向に届かないアベノマスクをよそに、進化を遂げている“知事のマスク”を、手芸オバさんの私は目が離せなかったんだわ。
そういえば、マスクデビューを果たしたばかりの小池さんが、やけに息苦しそうに話していたことがある。「ヤバくない?」と心配したけど、後で思えば通気性のあまりよくない布地を使っていたのよね。最初は顔からはみ出すほど大きかった立体マスクも、立体の山が大きくなったり、低くなったり。最近は、口が動くたび息づかいがわかる、山のないマスクがお気に入りのよう。彼女のコロナ対策について「7月の都知事選挙のことしか考えていない“次の選挙ファースト”」と言う人もいるし、自分に合うマスクを探求する姿を「やりすぎ」と批判する人もいる。