4月上旬以来続いていた緊急事態宣言が、5月25日、全国で解除された。プロ野球の開幕が6月19日に決まり、東京では飲食店の営業時間がひとまず22時まで延びた。
外出自粛の1か月半の間ですっかり季節も変わった。自粛前はまだ肌寒かったが、近頃はマスクも汗ばむ夏日が続く。そろそろエアコンのスイッチを入れる季節に入ったところで、非常に気になる調査報告書がアメリカ疾病対策センター(CDC)のウェブ上にアップされた。
《中国・広州市のレストランにおける、新型コロナ発生とエアコンの関係》
調査は、中国・武漢市の封鎖直後の1月24日、南に約1000km離れた広州市のレストランで発生した集団感染の感染経路を解明したものだ。
5階建てレストランの3階フロア。広さ145平方メートルのホールに15のテーブルが並び、83人の客が春節のごちそうを囲んでいた。そこに、武漢から遊びに来ていた女性Xさん(63才)がいた。彼女が感染源となり、同じフロアの9人が二次感染した(画像参照)。
報告書が注目したのは、感染した客の座席だ。9人のうち4人はXさんの親族で、同じテーブル(A)についた。残り5人は、テーブルAを挟む形で並ぶ2つのテーブル(B、C)に座っていた。
3つのテーブルに共通するのは、「エアコンの風が通る場所」に位置していたことだ。フロアに換気扇はあったが窓はなく、各テーブルの間隔は1mほど。フロアで配膳した従業員9人や、エアコンの風の流れの上になかったほかの12のテーブルに座った客は感染しなかった。
そうした事実から調査報告書は、Xさんが食事中に発した飛沫がエアコンの気流に乗ってBとCのテーブルに届き、感染を招いたと結論づけた。XさんとB、Cテーブルの感染者が隣り合ったたった1時間ほどの間に、感染が広がったとみられる。