新型コロナウイルスの影響で、夏の全国高校野球選手権大会と地方大会の中止が決定した。最後の夏にかけていた高校3年生の球児たちにとって、こんなにショックなことはないだろう。各地の高校野球連盟(高野連)は、代替大会を検討しているようだが、未定な部分が多い。かつての高校球児はこの事態をどう感じているのか。元高校球児のお笑い芸人・とにかく明るい安村さん(38才)に、話を聞いた。
◆これじゃ安心できない! 近場の高校で大会を開きましょう
旭川実業高校で3年生の夏に甲子園に出場し、3回戦進出を果たした安村さんは、背番号13の控え野手として、マウンドへの伝令役を務めた。
「最後に負けて終わるならスッキリできるし、気持ちを切り替えることができますが、試合もできずに終わってしまうというのは納得できない。大人になってからも、心残りになります。これじゃ、安心できませんよ。
やはり、集大成としての試合はやらせてあげたい。秋に地区予選を行い、甲子園も開催するのがいちばん理想的だと思います。無理なら、極力移動を制限して、各地域の近場の高校で集まって大会をやるのはどうでしょうか」
これまでの人生で高校時代が精神的にも体力的にも最もキツかったという安村さん。そのしんどさは芸人になってからの苦労を上回るというのだから、よほどのものだろう。
「休みは月1回だけで、それ以外は朝から晩まで野球漬け。北海道では、冬は雪が積もって練習ができないので、ひたすら体力づくり。長靴を履いて、雪の積もったグラウンドを50周です。
高校が山の上にあるので、キツネが出てくることもある。キツネはエキノコックスという寄生虫を持っているので、触ると危険。キツネから逃げて、余計に走らなければならない日もありました。それでも、チームメートたちと一緒に練習を乗り越えてきたことは、本当にいい思い出です。最後の試合で負けたときは涙が止まりませんでしたが、充実した高校野球生活を送ることができました」