現役最強馬がGI最多勝利記録(8勝)をかけて登場するハイレベルな安田記念。競馬ライターの東田和美氏がレポートする。
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安田記念にGⅠ馬として出走した馬は平成以降でのべ137頭(日本調教馬のみ)。本稿ではまず「G1馬」という勲章の、安田記念における“効能”について考察する。
最も多いのがNHKマイルCの勝ち馬でのべ26頭だが、勝った馬はゼロ。シーキングザパール、イーグルカフェ、グランプリボスは安田記念にGⅠ2勝馬として出走しているが、やはり勝てなかった。
皐月賞馬はのべ12頭の出走で、ダイワメジャーとロゴタイプが安田記念を勝っているが、前者もGⅠ実績が皐月賞だけだった2回は8着と4着で、天皇賞(秋)とマイルCSを連覇した翌年にやっと勝つことができた。ロゴタイプは皐月賞だけではなく朝日杯も勝っているGⅠ2勝馬。それも3年ぶりの勝利だった。
その他桜花賞馬12頭をはじめ、ダービー、オークス、秋華賞や4歳(現3歳)限定だったエリザベス女王杯の覇者も出走しているが、いずれも3歳限定GⅠの勲章1つだけでは安田記念を勝てていない。
では2歳馬限定の朝日杯FS組はというと、16頭の出走で2勝。1頭は前述のロゴタイプでGⅠ2勝馬。2着になったグラスワンダーとグランプリボスも他のGⅠを勝っていた。
朝日杯組のもう1頭は異端児アドマイヤコジーン。1998年、2戦目で勝ち上がり、東京スポーツ杯、朝日杯と3連勝後するが骨折。復帰した2000年7月から1年間で1200mから2000mまでの重賞を中心に12戦走ったものの未勝利。ところが半年休んで2001年1月の東京新聞杯で2年ぶりに勝つと波に乗り、一気に安田記念まで勝ち取った。種牡馬としてもGⅠ馬を2頭出している。
マイルCSの勝ち馬はのべ22頭が出走し、5勝2着2回とまずまず結果を出している。
インディチャンプは昨年の安田記念から国内の古馬マイルGⅠを連勝しており、3連覇がかかっている。過去にこの偉業を成し遂げているのはニホンピロウィナー、タイキシャトル、ダイワメジャーの3頭だが、すべてマイルCS→安田記念→マイルCSという順番。
マイルCSは平成以降だけでもダイタクヘリオスとデュランダルが連覇、マイルG1を続けて勝っているのもノースフライト、トロットサンダー、エアジハード、モーリスといるが、安田記念を連覇しているのは、過去ヤマニンゼファーとウオッカだけ。
この2頭は(ヤマニンゼファーは連覇後になるが)天皇賞(秋)を勝っている。出走時に天皇賞(秋)を勝っていた5頭のうち4頭が勝っている。インディチャンプが安田記念→マイルCS→安田記念という“史上初”の偉業を達成するには、1800mで3戦連対なしというマイル以上での成績がネックになるかもしれない。
ちなみに高松宮記念、スプリンターズSの勝ち馬は17頭出走しているが、安田記念を勝ったのはタイキシャトルとロードカナロアだけだ。