〈英語が話せなくても、声のトーンや表情、簡単な単語だけでもコミュニケーションはとれる。でも会話の中身がわからないし、自分の思いも伝えられない。相手が悩んでいたり、悲しんでいたりしても、自分は慰めることもできないんだなぁって思ったら、英語をちゃんと話せるようになりたいと思いました〉(神素子「山下智久がハリウッド女優に英語でインタビューできるほど上達したワケ」2018年5月27日付)
2012年には紀行ドキュメント番組『山下智久・ルート66~たった一人のアメリカ』(日本テレビ系)でシカゴからサンタモニカまでアメリカ横断を敢行。さらに2014年からスタートした英会話バラエティ番組『大人のKISS英語』(フジテレビ系)では世界進出を目標に山下が英語を学ぶというテーマを掲げ、翌2015年には『山Pのkiss英語』(同前)と自身の名前を冠したタイトルへと改題して放送されている。流暢な英語を駆使した『THE HEAD』での演技の裏にはこうした努力と経験があるのだ。
そんな山下が海外で活躍することについては、彼自身の魅力を発揮するだけでなく、ジャニーズの後輩に向けて活路を開く意味もあるようだ。映画やテレビでの取材を通じて山下を見てきたカメラマンでライターの名鹿祥史氏は次のように語る。
「山下さんは責任感が強く、とても後輩思いな一面があるそうです。King & PrinceやHey! Say! JUMPら事務所の後輩たちとも積極的に交流を持ち、夏にバーベキューに連れていったり、仕事の相談に乗ってやったりすることが恒例になっていると、テレビ番組(『王様のブランチ』)に出演した際、自分でも話していました。
小学生の時にジャニーズに入所し、その資質の高さから、自身も滝沢秀明ら事務所の先輩たちに可愛がられて育ってきた経験からそうしているのかもしれません。イベントなどに登場しても、後輩を立てたり、気遣ったりする場面をよく見かけます。今回、本格的な海外進出を決めた背景にも、ジャニーズで過去なかったようなことに自ら率先してチャレンジすることで、後輩のために道を切り開いてやりたいという思いがあったからだと伝え聞いています」
山下の海外進出に期待する声には、次の世代が日本の芸能界という狭い世界にとらわれず、国境を越えて様々なステージに挑戦していって欲しいという思いも込められているのかもしれない。
●取材・文/細田成嗣(HEW)