芸能

小松政夫が語る やはり喜劇は「笑って泣いて」で間違いない

小松政夫が語る「喜劇」の魅力とは

 映画史・時代劇研究家の春日太一氏がつづった週刊ポスト連載『役者は言葉でできている』。今回は、俳優の小松政夫が、お客さんに合った喜劇について語った言葉をお届けする。

 * * *
 小松政夫は二〇一九年十月に舞台『うつつ~小松政夫の大生前葬』に主演、自身に近いベテランのコメディアンを演じた。

「みんなで騒ぎながら飲んでいた時、生前葬のことを俺が話したんです。『老後は二千万円なきゃ生きていけない』とかバカなこと言った奴がいたでしょう。『俺も二千万円稼がなきゃどうにもならねえ。それなら生前葬でもやろう』という話になって。

 あいつは来てくれた、あいつは来ねえな──そういうのは、死んでしまうと分からないけど、生きているうちにやると『来てくれたの? ありがとうな』『あいつ、親友面していたのになんで来ないんだ。このやろう』とか、そういうのが見えるから面白い。

 それで、『生前葬』というタイトルの舞台にして、小松政夫が小松政夫の役をやることにしたんです。これまでの『はやり言葉』も出てくるし、真面目な芝居も出てくる。頭はボケちゃって、セリフも言えなくなったような役でね。他で女を作ってしまったために家に帰れなくなって、娘にも会えない。その娘がようやく会う気になってくれたら、その時はもう死んでいる。

 好きなようにやらせてもらいました。娘が悲しんでいるところに私がタキシード姿で現れて、『シャボン玉ホリデー』のエンディング曲に合わせてでたらめに踊る。それで、お客さんには私が死んだということが伝わる。

 物凄い反響がありました。やはり、喜劇は『笑って泣いて』だという考えに間違いはなかったと思います」

 現在も、現役の喜劇役者としてさまざまな舞台に上がり続け、観客に喜ばれている。

関連キーワード

関連記事

トピックス

都内の人気カフェで目撃された田中将大&里田まい夫妻(時事通信フォト/HPより))
《ファーム暮らしの夫と妻・里田まい》巨人・田中将大が人気カフェデートで見せた束の間の微笑…日米通算200勝を目前に「1軍から声が掛からない事情」
NEWSポストセブン
浅草・浅草寺で撮影された台湾人観光客の写真が物議を醸している(Xより)
「私に群がる日本のファンたち…」浅草・台湾人観光客の“#羞恥任務”が物議、ITジャーナリスト解説「炎上も計算の内かもしれません」
NEWSポストセブン
新横綱・大の里(時事通信フォト)
《横綱昇進》祖父が語る“怪物”大の里の子ども時代「生まれたときから大きく、朝ご飯は2回」「負けず嫌いじゃなかった」
NEWSポストセブン
ブラジルを公式訪問されている秋篠宮家の次女・佳子さま(時事通信フォト)
《スヤスヤ寝顔動画で話題の佳子さま》「メイクは引き算くらいがちょうどよいのでは…」ブラジル訪問の“まるでファッションショー”な日替わり衣装、専門家がワンポイントアドバイス【軍地彩弓のファッションNEWS】
NEWSポストセブン
ヤクザが路上で客引きをしていた男性を脅すのにトクリュウを呼んで逮捕された(時事通信フォト)
《ヤクザとトクリュウの上下関係が不明に》大阪ミナミでトクリュウを集めて客引き男性を脅して暴力団幹部が逮捕 この事件で”用心棒”はどっちだったのか 
NEWSポストセブン
2013年大阪桐蔭の春夏甲子園出場に主力として貢献した福森大翔(本人提供)
【10万人に6例未満のがんと闘う甲子園のスター】絶望を支える妻の献身「私が治すから大丈夫」オリックス・森友哉、元阪神・西岡や岩田も応援
NEWSポストセブン
新横綱・大の里(時事通信フォト))
《地元秘話》横綱昇進の“怪物”大の里は唯一無二の愛されキャラ「トイレにひとりで行けないくらい怖がり」「友達も多くてニコニコしてかわいい子だったわ」
NEWSポストセブン
ミスタープロ野球として、日本中から愛された長嶋茂雄さんが6月3日、89才で亡くなった
長島三奈さん、自身の誕生日に父・長嶋茂雄さんが死去 どんな思いで偉大すぎる父を長年サポートし続けてきたのか
女性セブン
イギリス出身のインフルエンサーであるボニー・ブルー(本人のインスタグラムより)
金髪美女インフルエンサー(26)が “性的暴力を助長する”と批判殺到の「ふれあい動物園」企画直前にアカウント停止《1000人以上の男性と関係を持つ企画で話題に》
NEWSポストセブン
逮捕された波多野佑哉容疑者(共同通信)。現場になったラブホテル
《名古屋・美人局殺人》「事件現場の“女子大エリア”は治安が悪い」金髪ロングヘアの容疑者女性(19)が被害男性(32)に密着し…事件30分前に見せていた“親密そうな様子”
NEWSポストセブン
東京・昭島市周辺地域の下水処理を行っている多摩川上流水再生センター
《ウンコは資源》排泄大国ニッポンが抱える“黄金の資源”を活用できてない問題「江戸時代の取引金額は10億円前後」「北朝鮮では売買・窃盗の対象にも」
NEWSポストセブン
ブラジル公式訪問中の佳子さま(時事通信フォト)
《佳子さまの寝顔がSNSで拡散》「本当に美しくて、まるで人形みたい」の声も 識者が解説する佳子さま“現地フィーバー”のワケ
NEWSポストセブン