もし夫が、“3割の確率で死ぬ”と告げられたら──。フリー転身後、唐突に笠井信輔アナ(57才)を襲った「悪性リンパ腫」。SNSで発信する前向きな姿の裏には、死を覚悟した瞬間もあったという。無事、寛解を迎えたいま、闘病生活に寄り添った妻・茅原(ちはら)ますみさん(55才)が思いを語った。
「寛解という言葉に、夫は“おぉ”と声を上げ、長男は“やったね、よかったね”と喜んでいました。私は、これまで心配や励ましの連絡をいただいたいろいろなかたの顔が脳裏に浮かび、感謝の気持ちでいっぱいでした。涙は出ませんでしたね。絶対に治るって信じていたので…」
6か月近くにわたるがん闘病を終えた元フジテレビアナウンサー・笠井信輔さん。その妻、茅原ますみさんは明るい表情で、しかし言葉を噛みしめるように語った。
ふたりはアナウンス養成学校の同期で、笠井アナはフジテレビへ、茅原さんはテレビ東京へ入社。1990年に結婚し、3人の男の子に恵まれた。
茅原さんは報道記者、『TXNニュースアイ土日特集』や『TXNニュースワイド11』のキャスターなどを経て、現在はテレビ東京総務人事局の管理職。一方、33年間にわたってフジテレビの人気アナウンサーとして活躍してきた笠井アナは、昨年10月にフリーアナウンサーに転身した。
順風満帆だった家族が悲劇に襲われたのは、その矢先のことだった。
昨年12月初旬、腰に激しい痛みを感じた笠井アナが診察を受けたところ、悪性リンパ腫の1つである「びまん性大細胞型B細胞リンパ腫」に罹患していることが判明。すでにがんが最も進行している「ステージ4」だと告げられた。
「夫に“ごめんね、病気になっちゃって”と言われたときは、こんなに悲しい報告はないなと思いました。つらかったし、切なかった。“死”を覚悟していることがわかったから…。私は“大丈夫”って思っていたけど、PET検査(※)の結果を見たときは声が出ませんでした。全身を映した診断画像の中でがん細胞が光るんですが、全身が光っているんです。隣で夫も言葉をなくしていました」(茅原さん・以下同)
(※がん細胞の位置や大きさを調べる検査。放射性薬剤を点滴などで投与した後、CTのような医療機器で断層写真を撮影。がん細胞が放射性薬剤を取り込むことで、病巣を映し出せる)
入院した笠井アナは、すぐさまブログを開始。
「これまで自分は誰かの病気を報道する側にいて、いざ自分が病気になったときに“そっとしておいてください”というのはフェアじゃない、と。私は“誰がそんなつらいものを読みたいの?”と反対でしたが、結果的にはブログが夫自身を鼓舞するツールになった。応援のメッセージが彼に力を与えてくれたんです」
闘病は壮絶を極めた。笠井アナが罹患したがんは予後がよくないタイプ。医師から「治療は厳しいものになる」と最初に告げられたという。
治療は「抗がん剤の5日間連続投与」を6回にわたって行うもので、激しい副作用が伴った。食欲がなくなり、髪も抜け落ちていく。笠井アナはブログにこう綴った。