芸能

地上波連ドラ初主演・吉川晃司、目指す境地とその生きざま

撮影現場での吉川

 デビューから36年──いまもなおロックミュージシャンとして最前線でステージを駆け回る吉川晃司(54才)の姿は、東映京都撮影所(太秦)にあった。日本映画の古き良き伝統を受け継いできた撮影所で吉川が挑んでいるのは、ドラマ『探偵・由利麟太郎』(カンテレ・フジテレビ系)の撮影。由利麟太郎とは、推理小説の大家・横溝正史が「金田一耕助」よりも前に生み出していた“名探偵”。吉川はこの役で「地上波連続ドラマ初主演」を飾ることになった。

「最初は『えっ、“由利麟太郎”をやるの?』って、面白い挑戦だなと思いました。ホラーミステリーというジャンルも含めて、テレビドラマとしては攻めた企画だよね。でも、俺はそういうものの方が好きだから(笑い)」

 主演として、企画スタッフとの意見交換も積極的に行った。作品の独特の世界観を表現するべく、撮影拠点を京都に置くことになったのも、吉川とスタッフの狙いが合致したからだ。

「やっぱり、京都で撮れてよかった。街並みや建物に、趣があるからね。それに太秦の現場スタッフのかたがたが持っている技術やこだわりが素晴らしいんです」

 撮影が一段落つきスタジオから早々と出て行く吉川は、その空き時間を弓の練習に充てていた。由利が弓道を嗜むというドラマ版独自の設定もまた、意見交換の中で生まれたものだという。

「2年前『黒書院の六兵衛』(WOWOW)という時代劇をやったときに、弓馬術礼法小笠原流という流派のかたがたに、武士の所作や流鏑馬などを習ったんです。このときの衝撃が自分にとってとても大きくて。弓道の達人は矢を射るとき、身体に全くムダな力が入っていないんです。それは鍛え抜かれた体幹があればこそ。今回、撮影の合間や撮休日はずっと練習と体幹トレーニングをしていました。だいぶ命中率は上がってきましたが、それでもまだ6~7割といったところですね。達人の域にはほど遠いです」

 吉川といえば、高校生時代には世界ジュニア水球選手権大会の日本代表に選ばれるなど、芸能界屈指のスポーツマンとしても知られる。1984年、映画で主演デビューを飾るとともに『モニカ』で歌手デビューも果たしてヒット曲を連発。瞬く間に同世代のトップスターへと上り詰めた。当時から、映画や歌手としてのパフォーマンスの中で、その卓越した身体能力は存分に発揮されていたが、驚くのは現在もそのスタイルやパワーを維持し続けていることだ。吉川の代名詞“シンバルキック”はもちろんのこと、俳優としても数々の作品で華麗なアクションを披露するなど新たな挑戦も辞さない。

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