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明太子業界がコロナでピンチ、「ギフト依存から脱却」が課題

直営店の相次ぐ閉鎖で明太子業界に打撃。写真は山口油屋福太郎の辛子明太子

 新型コロナウイルスによる緊急事態宣言が解除されて半月あまり、「新しい生活様式」を取り入れつつ、徐々に街も人も日常を取り戻しつつある。しかし、最近まで感染者数が増加傾向にあり、5月末にクラスターも発生した福岡県では依然コロナへの警戒感が強く、他県に比べて回復が遅れている。土産物需要が大幅に減って打撃を受けている博多名物・辛子明太子業界を取材した。

 かば田食品は、福岡県を中心に47店舗を展開する、従業員数約400名の老舗企業。ギフトや土産物用の辛子明太子が主力だ。代表取締役の椛田稔久さんが話す。

「大正10年の創業以来、これまでに経験したことがないほど悪い状況です。4月は前年同月比で30%減、5月も同20%減に落ち込みました。直近6月の売り上げは同12%減と少しずつ戻ってきてはいるものの、回復には至っていません」(椛田さん・以下同)

 緊急事態宣言が発令された4月から5月下旬までの約2か月間、主な卸先である駅や空港、高速道路のサービスエリア、百貨店などが閉鎖され、影響をもろに受けたという。

「特に弊社の場合、ギフト用、お土産用の比率が高く、例年なら稼ぎ時の春休みと5月の連休商戦は惨憺たるものでした。インターネット販売は好調で、東京や大阪からの注文は増えましたが、それでも直営店の売り上げの減少を補うほどには至りません」

 緊急事態宣言が解除されて店を再開しても、不振は続く。

「本当は一人でも多くのお客さまに来ていただきたいのですが、店が混まないようチラシなどの販促は控え、価格訴求も抑えています。値引きを抑えたからといって利益率が上がるかといえば、とんでもない。お客さま自体が激減しているので、売り上げ減には変わりありません。7月以降のお中元商戦で直営店の売り上げが伸びないと、今後かなり厳しい」

 同様に、福岡を中心に東京や大阪など8つの直営店を構え、百貨店や主要駅、空港の売店に商品を卸している福さ屋も苦戦を強いられている。同社の業務部長が内情を明かす。

「売り上げは非常に悪く、目下、持続化給付金の申請をしているほどです。売り上げも前年比で、4月は43%減、5月は52%減と4~5割減っています。今までどんなに悪くても1割を下回ったことはなく、リーマンショックや東日本大震災のときより酷い。創業以来の大赤字です」(福さ屋の業務部長・以下同)

 理由はやはり、緊急事態宣言を受けて、駅や空港の直営店を完全休業したこと。

「弊社の場合、一般家庭用よりも土産品が主力で、県外からのお客さまにも多く買って頂いているものですから、人の流れが途絶えたことで、同じ明太子業界のなかでも影響は特に大きかったと思います。現在、店は再開しましたが回復の見込みは厳しいままです」

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