◆“体のコゲ”が重病のサイン
老化の原因は、これまでもさまざまな説が示されてきた。なかでも、ストレスや紫外線、喫煙などのダメージによってできる「活性酸素」が体中の細胞を傷つける「酸化」は、老化の大きな原因として恐れられている。
だが、最近では、酸化よりも恐ろしい「糖化」という現象が注目され始めている。
糖化とは、食事で摂取した炭水化物に含まれるブドウ糖などの糖質が体内の脂肪やたんぱく質と結合する現象のこと。この糖化によって、皮膚や血管に「AGE(終末糖化産物)」と呼ばれる物質ができる。この仕組みは、肉や魚をこんがり色づくまで焼いたときに起きる現象と同じ。つまり、体が「コゲる」ことが、老化の最大の原因なのだ。
AGE研究の第一人者で、AGE牧田クリニックの糖尿病専門医の牧田善二さんが解説する。
「AGEができ、体が糖化すると、全身に炎症が起こる。皮膚が硬くなり、肌のしわ、シミ、たるみなどの老化現象につながります。同時に血管も硬くなるため、心筋梗塞や糖尿病、脳梗塞、高血圧症といった多数の生活習慣病のリスクが上がることもわかっています」
さらに、AGEによって起こる炎症は、がんなどの原因にもなるという。
「体内に生じたAGEは、体にとっては、いわば“毒”。そのため、これを排除するために免疫細胞が働きます。そのとき、『サイトカイン』という物質が作られます。このサイトカインが“毒”を排除するための働きは非常に強いため、全身に慢性的な炎症を引き起こし、がんなどの重大な病気につながることもあるのです」(牧田さん)
AGEはしわだけでなく、薄毛や白髪といった髪の老化の原因にもなる。内臓の不調は、肌、さらには髪の老化にも表れるのだ。
※女性セブン2020年6月25日号