NHK Eテレ『きょうの料理』への出演でもおなじみの現役最高齢95才の日本料理研究家“ばぁば”こと鈴木登紀子さんが、後世に残していきたい日本料理の“手仕事”を紹介。今回のテーマは、素朴な「一汁二菜」です。
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家族揃って食事をいただけるのは大変喜ばしいことですが、これが1日3食、毎日となりますと、主婦のみなさんにはなかなか悩ましい事態ではないかとお察しいたします。外食もしやすくなったとはいえ、小さな子供たちを連れてでは、やはり不安が先に立つことでしょう。
何かと大変なご時世ですが、新型コロナウイルスの感染から身を守るには、免疫力を維持するためにも栄養たっぷりでバランスのよい食事が不可欠です。でもね、朝昼晩全部あれこれ用意して頑張る必要はないの。
お昼はさっと麺類にするとか、ご飯だけ炊いておかずはお総菜を活用するとか、あるいはカレーを多めに作って冷凍しておく…など、「手抜き」ではなく「手数を減らす」工夫をなさればよいのです。
和食の献立は、一汁二菜あるいは一汁三菜が基本です。「汁」はおみそ汁やすまし汁などの汁もの、「菜」はおかずですから、一汁二菜といえば汁もの1品におかずが2品ということになります。
おかずにも決まりごとがありまして、三菜といえば和えもの、煮もの、焼きものの3種をいい、二菜ならば和えものと煮ものか焼きもののどちらか1品の組み合わせとなります。
焼きものが揚げものに、煮ものが蒸しものになってもよいし、お刺身を加えてもよいのです。和えものをおひたしやサラダに変えても結構。
つまりは、魚か肉を使った主菜+お野菜が主役の副菜+汁椀、そしてこれにご飯とお漬けものを加えて献立が完成するわけです。
ばぁばは、家庭の食卓では一汁二菜で充分だと思います。いえ、もっといえば、非常時のいまは、一汁一菜プラス簡単な副菜でもよいのではないかしら。
肝心なのは、スーパーへ行く前に献立を考えておくこと。できれば1週間分の献立をあらかじめ決め、お野菜は品目を絞って使い回すお料理を考えておくと、節約にもなります。
そこから先は貴女の腕の見せどころ。「元気にな~れ!」の思いを隠し味に、ご家族の心と体をおいしく育んでくださいね。