国内

歌舞伎町の「スカウト狩り」 コロナで窮した末に勃発

歌舞伎町では都職員らが感染防止呼びかけの巡回をおこなっている(時事通信フォト)

歌舞伎町では都職員らが感染防止呼びかけの巡回をおこなっている(時事通信フォト)

 ドラマや映画にもなった漫画『新宿スワン』は、2000年代の歌舞伎町を主な舞台としてスカウトマンの主人公と彼を取り巻く様々な人や出来事を描いた作品だ。6月最初の週末、その新宿スワンで描かれたような、いかにも裏社会にいる男たちが路上で暴れる場面が新宿区歌舞伎町で何度も出現した。「手打ち」が行われ、事態は収束したとも聞こえてくるが、なぜSNSで拡散された目撃情報や動画のような、路上での揉め事が頻発したのか。ライターの森鷹久氏がレポートする。

 * * *
「新宿でスカウト狩りが行われているらしい」

 筆者の元に、新宿・歌舞伎町でバーを経営する知人から連絡があったのは6月6日の夜だった。「スカウト」と言っても、芸能タレントや雑誌モデルとして見込みがある人を勧誘するスカウトではない。歌舞伎町でスカウトといえば、水商売や風俗産業で働く女性を、街中で声かけをして探す人々のことを指す。こうした路上でのスカウトは、現在では全てが「違法」、さらにスカウトの背後には暴力団など反社会勢力の存在もちらつく。それだから、といえば偏見なのかもしれないが、スカウトにまつわるトラブルは別段珍しいことではない。また、新宿の「夜の街」といえば新型コロナウイルスの「第二波」発生の恐れを、東京都から名指しされているエリア。緊急事態宣言中も閑散としていたはずで、そんな時期に「スカウト」が街中に立っていることも、筆者は知らなかった。この知人が続ける。

「自粛期間中、実はホストも風俗も、こっそり闇営業していた。客は全然入ってなかったが、同じように仕事がなくなり困っていたスカウトの連中も、やはりこっそりスカウトを行なっていた」(新宿のバー経営者)

 スカウトの収入は、道行く女性を飲食店や風俗店に紹介し、女性の稼いだ金額に応じて、店からキャッチに支払われる完全出来高制の報酬だ。かつては、女性を紹介するだけで店から高額な紹介料が支払われる「買取り」という制度もあったが、不景気の煽りからか、出来高制の仕組みのみが残った。スカウトは、スカウトし続けなければ「死ぬ」のだ。

「スカウト同士の揉め事はよくある話ですが、コロナの影響で新宿・歌舞伎町から人が消え、当然スカウトの対象となる若い女性もほとんどいなくなりました。飯のタネが減ったスカウトたちは道行く女性にしつこくつきまとったり、別グループの縄張りを荒らすなどして、かなりやりたい放題になっていたんです。そんな中、とあるスカウト会社が別の会社からスカウトを引き抜くと言うタブーをやらかしもめ事に。バックについていた暴力団も出てきて、騒動は収束するかに思われたものの、スカウト会社関係者が全く言うことを聞かず、暴力団批判まで……。スカウト会社をまもるべくバックについていたはずの暴力団が、スカウト会社を潰しにかかった…というのが今回の顛末です」

関連記事

トピックス

左:激太り後の水原被告、右:2月6日、懲役刑を言い渡された時の水原被告(左:AFLO、右:時事通信)
《3度目の正直「ついに収監」》水原一平被告と最愛の妻はすでに別居状態か〈私の夢は彼と小さな結婚式を挙げること〉 ペットとの面会に米連邦刑務局は「ノー!ノー!ノー!」
NEWSポストセブン
9月に成年式を控える悠仁さま(2025年4月、茨城県つくば市。撮影/JMPA)
悠仁さまが学園祭にご参加、裏方として“不思議な飲み物”を販売 女性グループからの撮影リクエストにピースサイン、宮内庁関係者は“会いに行ける皇族化”を懸念 
女性セブン
衆院広島5区の支部長に選出された今井健仁氏にトラブル(ホームページより)
【スクープ】自民広島5区新候補、東大卒弁護士が「イカサマM&A事件」で8000万円賠償を命じられていた
週刊ポスト
V9伝説を振り返った長嶋茂雄さんのロングインタビューを再録
【長嶋茂雄さんロングインタビュー特別再録】永久不滅のV9伝説「あの頃は試合をしていても負ける気がしなかった。やっていた本人が言うんだから間違いないよ」
週刊ポスト
“超ミニ丈”のテニスウェア姿を披露した園田選手(本人インスタグラムより)
《けしからん恵体で注目》プロテニス選手・園田彩乃「ほしい物リスト」に並ぶ生々しい高単価商品の数々…初のファンミ価格は強気のお値段
NEWSポストセブン
山尾志桜里氏(=左。時事通信フォト)と望月衣塑子記者
山尾志桜里氏“公認取り消し問題”に望月衣塑子記者が国民民主党・玉木代表を猛批判「自分で出馬を誘っておいて、国民受けが良くないと即切り捨てる」
週刊ポスト
「〈ゆりかご〉出身の全員が、幸せを感じて生きられるのが理想です。」
「自分は捨てられたと思うのは簡単。でも…」赤ちゃんポスト第1号・宮津航一さん(21)が「ゆりかごは《子どもの捨て場所》じゃない」と思う“理由”
NEWSポストセブン
浅草・浅草寺で撮影された台湾人観光客の写真が物議を醸している(Xより)
「私に群がる日本のファンたち…」浅草・台湾人観光客の“#羞恥任務”が物議、ITジャーナリスト解説「炎上も計算の内かもしれません」
NEWSポストセブン
ブラジルを公式訪問されている秋篠宮家の次女・佳子さま(時事通信フォト)
《スヤスヤ寝顔動画で話題の佳子さま》「メイクは引き算くらいがちょうどよいのでは…」ブラジル訪問の“まるでファッションショー”な日替わり衣装、専門家がワンポイントアドバイス【軍地彩弓のファッションNEWS】
NEWSポストセブン
2013年大阪桐蔭の春夏甲子園出場に主力として貢献した福森大翔(本人提供)
【10万人に6例未満のがんと闘う甲子園のスター】絶望を支える妻の献身「私が治すから大丈夫」オリックス・森友哉、元阪神・西岡や岩田も応援
NEWSポストセブン
ブラジル公式訪問中の佳子さま(時事通信フォト)
《佳子さまの寝顔がSNSで拡散》「本当に美しくて、まるで人形みたい」の声も 識者が解説する佳子さま“現地フィーバー”のワケ
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 食卓を汚染する「危ない輸入冷凍食品」の闇ほか
「週刊ポスト」本日発売! 食卓を汚染する「危ない輸入冷凍食品」の闇ほか
NEWSポストセブン