老いは、誰にでも平等にやってくる。しかし、ちょっとした老け方の変化が、体の異常のサインとなっている可能性もある。
「年を取ってやさしい顔つきになった」と言われると、悪い気はしない。ただ、若い頃はキリッとしていた目元が下がってきているなら要注意だ。二本松眼科病院の眼科専門医の平松類さんはこう話す。
「もし、片目だけが大きく下がっているとしたら、動脈瘤の可能性があります。脳の動脈瘤ができやすい場所には、まぶたを上げるための動眼神経が存在しているため、動脈瘤によって神経が圧迫されているケースがあるのです」(平松さん・以下同)
また、「加齢とともに目が大きくなったように感じていたら、バセドウ病の兆候だった」ということも。
「やせて目のまわりの脂肪が落ちているだけ、という可能性もありますが、急に目が大きくなったと感じるのは、バセドウ病の特徴で、特に女性に多い。
甲状腺から生じる沈着物が目のまわりの筋肉にくっついて、目を飛び出させる。その結果、目が大きくなったと勘違いしてしまう。進行すると、甲状腺が肥大して腫れることで、首が太くなるなどの変化も出ます」
視力の低下は糖尿病の可能性を示しているが、もし片目だけ視力が落ちた場合は、頸動脈閉塞を引き起こしている可能性がある。
これは動脈硬化がかなり悪化した状態のことで、放置すると命にかかわる。老眼鏡を買いに行く前に、眼科だけでなく内科を受診しておくべきかもしれない。