国内

コロナ休校で教師たちの価値観も変容 学校は元に戻れるのか

休校が解除され、生徒たちの登校も始まった(時事通信フォト)

休校が解除され、生徒たちの登校も始まった(時事通信フォト)

 緊急事態宣言に伴う在宅ワークの広がりによって、政府に言われるまでもなく「働き方の新しいスタイル」の良さに気づいた人が多いようだ。サービス残業や休日出勤が当たり前で忙しい日々は充実しているのだと思っていた学校の先生たちも、以前の働き方でよいのだろうかと疑問を持ち始めた。生徒や保護者の前では言えない胸の内を、ライターの森鷹久氏がレポートする。

 * * *
 新型コロナウイルス感染拡大を防ぐための緊急事態宣言が解かれ、小中学校や高校も、分散登校や時短授業などを取り入れながら再開した。ランドセルを背負った無邪気な子供たちを見て「日常が戻りつつある」と晴れやかな気持ちになった人も少なくないはずだが、一方で不安を口にする人もいる。それは他でもない、学校の先生たちだ。

「丸2ヶ月の間、仕事はほとんどできませんでした。普段が多忙だったからかもしれませんが、喪失感も抱いたし、ホッとできた部分もあるし、複雑な気分です」

 千葉県内の公立小学校に勤務する教師・永坂優馬さん(20代・仮名)は、本年度から新4年生のクラスの担任である。緊急事態宣言期間中もほぼ毎日学校へ行き、生徒宅や生徒の親に電話をして、子供たちの生活の様子や学習状況を聞き取った。緊急事態宣言が出された直後は、早ければ5月には学校が再開されるかもしれないと、大急ぎで授業のスケジュールを組んだりもしたが、結局1ヶ月伸びることになり、仕事はほぼ無くなった。

「スポーツクラブの顧問もやっていましたので、授業が終わると夜7時まではそちらの指導もやっていました。帰宅は毎日午後9時ごろです。朝は7時半には学校に着き授業の準備。土日は試合などで潰れるし、入学式や運動会前はその準備もしなければなりません。お休みの期間はそうした仕事がほぼゼロになりました。朝9時から夕方まで職員室で過ごして、全く残業なしに帰る生活です」(永坂さん)

 実を言うと、と前置きをして永坂さんが打ち明けたのは、休校中のライフスタイルの方が「人間的な生き方ができていた」ということだ。

「妻と小さな子供がいますが、コロナ以前はほとんど構ってやれませんでした。教員になることは夢でしたし、教職に就いている以上、それが当たり前だと思っていました。しかし、仕事があっての家族ではなく、家族があっての仕事ではないのか、そう強く思うようになったんです」(永坂さん)

関連キーワード

関連記事

トピックス

田村瑠奈被告(右)と父の修被告
「ハイターで指紋は消せる?」田村瑠奈被告(30)の父が公判で語った「漂白剤の使い道」【ススキノ首切断事件裁判】
週刊ポスト
指定暴力団六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)
暴力団幹部たちが熱心に取り組む若見えの工夫 ネイルサロンに通い、にんにく注射も 「プラセンタ注射はみんな打ってる」
NEWSポストセブン
10月には10年ぶりとなるオリジナルアルバム『Precious Days』をリリースした竹内まりや
《結婚42周年》竹内まりや、夫・山下達郎とのあまりにも深い絆 「結婚は今世で12回目」夫婦の結びつきは“魂レベル”
女性セブン
騒動の発端となっているイギリス人女性(SNSより)
「父親と息子の両方と…」「タダで行為できます」で世界を騒がすイギリス人女性(25)の生い立ち 過激配信をサポートする元夫の存在
NEWSポストセブン
宇宙飛行士で京都大学大学院総合生存学館(思修館)特定教授の土井隆雄氏
《アポロ11号月面着陸から55年》宇宙飛行士・土井隆雄さんが語る、人類が再び月を目指す意義 「地球の外に活動領域を広げていくことは、人類の進歩にとって必然」
週刊ポスト
九州場所
九州場所「溜席の着物美人」の次は「浴衣地ワンピース女性」が続々 「四股名の入った服は応援タオル代わりになる」と桟敷で他にも2人が着用していた
NEWSポストセブン
初のフレンチコースの販売を開始した「ガスト」
《ガスト初のフレンチコースを販売》匿名の現役スタッフが明かした現場の混乱「やることは増えたが、時給は変わらず…」「土日の混雑が心配」
NEWSポストセブン
希代の名優として親しまれた西田敏行さん
《故郷・福島に埋葬してほしい》西田敏行さん、体に埋め込んでいた金属だらけだった遺骨 満身創痍でも堅忍して追求し続けた俳優業
女性セブン
佐々木朗希のメジャーでの活躍は待ち遠しいが……(時事通信フォト)
【ロッテファンの怒りに球団が回答】佐々木朗希のポスティング発表翌日の“自動課金”物議を醸す「ファンクラブ継続更新締め切り」騒動にどう答えるか
NEWSポストセブン
越前谷真将(まさよし)容疑者(49)
《“顔面ヘビタトゥー男”がコンビニ強盗》「割と優しい」「穏やかな人」近隣住民が明かした容疑者の素顔、朝の挨拶は「おあようございあす」
NEWSポストセブン
歌舞伎俳優の中村芝翫と嫁の三田寛子(右写真/産経新聞社)
《中村芝翫が約900日ぶりに自宅に戻る》三田寛子、“夫の愛人”とのバトルに勝利 芝翫は“未練たらたら”でも松竹の激怒が決定打に
女性セブン
天皇陛下にとって百合子さまは大叔母にあたる(2024年11月、東京・港区。撮影/JMPA)
三笠宮妃百合子さまのご逝去に心を痛められ…天皇皇后両陛下と愛子さまが三笠宮邸を弔問
女性セブン