「取り組みには賛成だ。応援する」。愛知県の大村秀章知事に対する解職請求(リコール)運動について、キッパリと賛意を示したのは大阪府の吉村洋文知事。6月2日に記者団からリコールについて問われた時のひとコマだ。2大都市のトップ同士がいがみあう──前代未聞の騒動の背景には、大阪と名古屋の深い因縁があった。
リコール運動は、芸術祭「あいちトリエンナーレ2019」に補助金が出ていた問題について、大村知事の対応に不満を持つ美容外科「高須クリニック」の高須克弥院長が始めたもの。
コロナ対策で多忙を極める吉村知事が他県の話に首を突っ込んだのには、ある伏線があった。
きっかけは大村知事が、新型コロナの感染拡大をめぐり、5月から記者会見など公の場で、「東京、大阪は医療崩壊に陥った」との認識を繰り返し示したことだった。
これに吉村知事は反発。ツイッターで「何を根拠に言っているのか全く不明」と不快感を露わにし、松井一郎・大阪市長も「デマで大阪を貶めても自身の値打ちが上がるもんではありませんよ」とツイッターで加勢した。
その不満が爆発したのが、前代未聞の知事による他県知事への“リコール賛成”だったのだ。これにはさすがに松井市長も「知事が旗を振るのは違う」とたしなめたが、大阪府民は「よく言った」の声が大勢だ。大阪市在住の30代会社員が語る。
「あの大村というおっさん、政治家なのに勝手なことばっかり言いやがって、吉村知事がブチ切れるのも無理ないわ。吉村知事のあまりの人気ぶりに嫉妬したんやろな。小さい男やで」