空中ブランコや富士登山など、体験取材を得意とする『女性セブン』の“オバ記者”こと、ライターの野原広子(63才)が、話題のニュースを自由に語る。今回のテーマは「『女帝 小池百合子』を読んで、思ったこと」だ。
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5月末に発売された『女帝 小池百合子』(石井妙子著、文藝春秋刊)の評判を聞いて、遅ればせながら読了した。
何せ、小池百合子氏の半生を、「百人を超える関係者の証言と3年半にわたる綿密な取材のもと描き切った」ノンフィクションで、衆議院議員に立候補したこともある貿易商の父のことや、子供時代の小池氏のことなど、私たちが知らないことがふんだんに書かれているのだ。
多くの著書があり、マスコミに頻出する彼女のことは“旧知のお姉さん”のような気になっていたのだけど、いくつかスッキリしない疑問もある。結婚歴があるというけど、どんな人と? エジプト・カイロ大学時代はどんな暮らし?
20代初めの小池氏と、カイロで約2年間、同居した女性(早川玲子さん・仮名)の出現が本書の目玉になっている。
10才ほど年下の小池氏と同居してすぐのことだ。
《次々と訪問客がやってくる。皆、男性だった。小池はコケティッシュな振る舞いで彼らを翻弄し、魅了していた。大きな眼で上目遣いに見つめる。小首をかしげて、目をクルクルと動かす。独特の身体のしな。ダジャレの切り返し。
小池はカイロにいる日本人女性の中で、とびぬけて若かった》(《》内は『女帝 小池百合子』より)
私の友人に「人は20代をどう生きたかで、一生が決まる」と断言する女がいる。その人間の“性分”が表に出る20代から逃れられないと言うのだ。
たしかに、60才を過ぎたいまの自分を思うと、“20代の延長を生きている”と言っていいかもしれない。異国に駐在している日本人のアイドルだった小池氏は、一対一の関係より、大勢の中にいた方が居心地がよかったのかもしれないと思う。
カイロ大学に入る前に1年間通ったとされるカイロ・アメリカン大学についてはこんな記述がある。