テレワークによる在宅疲れ──そんな言葉が注目を集めている。実際、ライフスタイルメディアのウーマンウェルネスが首都圏在住の20~50代の男女を対象に調査したところ、7割以上が体の不調を訴えていたという。
東京都在住の会社員・佐藤朋子さん(54才)もその1人。
「家にあるサイズの合っていないいすと小さな机で長時間テレワークをして、その合間に家事をこなすのは大変。肩や背中がカチカチにこってしまっているのですが、毎週通っていたホットヨガもコロナの影響でお休み中。こりと痛みがたまって背中はバキバキです。夜もよく眠れず、早くも夏バテしそうです」
さまざまな不調の中でも、佐藤さんのように背中に不調を感じる人が増えているという。その理由を、きくち総合診療クリニック院長の菊池大和さんが解説する。
「外出が減ると運動不足で体が固まってしまう。そのうえ、巣ごもり生活によって猫背や反り腰などで長時間座っていると、背中に負担がかかります。
また、室内にいるとつい水分補給を忘れがちですが、体の中に充分な水分が行き渡らなければ筋肉が硬くなり、それも慢性的なこりの一因となります。たかが背中、と思われるかもしれませんが、背中のこりは目の下のくまや自律神経の乱れの原因となるケースもある。放置するとやっかいです」
恐ろしいのはそれだけではない。背中の痛みや不調は、重病の兆候を示している場合もある。菊池さんが続ける。
「すい臓や腎臓など、背中の近くには重要な臓器が集まっており、背中の痛みはそれら臓器の病気と関係していることも。大病が潜んでいるとも考えられ、放置した結果、手遅れになってしまう可能性すらあるのです」