コロナ休校期間中、自宅で過ごす小学生が時間を忘れて熱中した遊びとして、任天堂Switchのゲーム『あつまれ どうぶつの森』が大きな話題となったが、ブームはそれだけではない。ドロドロ、ヌルヌルした物体「スライム」を作ってストレスを発散させる小学生が増えたという。
そもそもスライムブームは今に始まったわけではない。1970年代後半にツクダオリジナル(現メガハウス第4事業部)が、米国の玩具メーカー・マテル社が販売していた緑色の半固形物体を日本で初めて発売したところ、小学生を中心に大ヒット。得体の知れないあの感触、記憶に残っている親世代も多いだろう。
その後も類似品のスライムはおもちゃ屋を中心に売られていたが、近年ブームとなっていたのは、自分で材料から揃えて手作りする「DIYスライム」だ。神奈川県在住の小学5年生、中田悠さん(仮名)もDIYスライムにどハマりしたひとり。
「100円ショップでも完成品のスライムや手作りキットは売っていますが、自分でいろいろな材料の配合を変えながら作ってみると、できあがりの色合いや手触りも変わって楽しいんです」(中田さん)
材料を揃えるのは難しくない。中田さんがよく使うのは、洗濯のりや、掃除などに使われるホウ砂(鉱物の一種)、色付けの絵の具や食紅などだ。それらを水などと混ぜ合わせていくと徐々に固まってくるという。
だが、悩ましいのは、そうした材料だけでは飽き足らず、次第に家中の様々な生活用品に手を出し始めることだ。重曹や水のり、木工用ボンド、ボディローション、シェービングフォーム……。
「お父さんが使っているシェービングフォームを使うとフワフワに、木工用ボンドを使うとツヤツヤに、重曹を使うとタプタプになって面白い。
手触りだけでなく音も楽しめます。ビーズを入れると穴から空気が抜けて触ったときに『バチバチ』と音が鳴りますし、お母さんが使っている洗顔スポンジをスライムの間に入れて包丁で切ると『ジュワジュワ』と音がして気持ちいいんです」(中田さん)