今季のプロ野球では、無観客を“味方”にして成績を伸ばす選手はいるのか。甲子園の優勝投手として1981年のドラフト1位で近鉄バファローズに入団、閑古鳥が鳴く“ほぼ無観客”のパ・リーグ球場を経験した金村義明氏(56)は阪神の選手たちに期待する。
「甲子園で練習試合を見ていても阪神の選手は笑顔でノビノビやっている。甲子園の大声援は調子がいい選手にとってはこれ以上ない追い風になるが、虎党のヤジは不調な時にプレッシャーにもなる。甲子園の大観衆にのまれてすぐ自由契約になった一昨年のロサリオにもう一度チャンスをやりたいくらい。ボーアの性格はわからないが、無観客のオープン戦では3試合連続本塁打を打った。パワーはバース以上のボーアをはじめ、高いレベルで競争している大山(悠輔)や北條(史也)、木浪(聖也)に期待したい」
虎党の牙は阪神の選手にだけ向けられるわけではない。1971年に東映フライヤーズに入団し、翌年南海ホークスに移籍、引退時は阪神タイガースに在籍していた江本孟紀氏(72)が語る。
「巨人の坂本勇人と大城卓三はもし観客を入れての試合なら、虎党の格好の餌食だったでしょうね。藤浪晋太郎ばかりが叩かれた“お返し”がありますからね。
阪神相手の試合に限らず、今季FAで移籍した選手は喜んでいるでしょう。ロッテ・福田秀平、美馬学、楽天・鈴木大地はいずれも同一リーグ内の移籍だからファンのヤジも容赦ない。昨年、西武から移籍した楽天・浅村栄斗も西武ドームでは大ブーイングでしたから。まあ、浅村はそれでも自己最多の33本塁打を打っているだけに、今年はもっと遠慮なくプレーして打ちまくるのでは」