「一強総理」の重石が取れると、自民党では安倍首相のイエスマン、面従腹背でチャンスを狙っていた者、何度挑んでも勝てなかった政治家たちが“待ってました”と次の首相レースに名乗りを上げ始めた。
だが、果たして彼らはポストコロナの時代に必要なリーダーの資質を備えているのか。 かつて自民党実力者の金丸信・副総裁は、「平時の羽田孜、乱世の小沢一郎、大乱世の梶山静六」と人材の豊富さを誇る言い方をした。
しかし、いまや自民党には「乱世」や「大乱世」を乗り切ることができそうな人材が払底している
政治の裏表を知り尽くしたOB議員、政治学者、ベテラン記者が実名で「この政治家だけは次の総理にしてはいけない」と突きつける。
“ほっこりしか言わない”岸田文雄・政調会長
政府配布の布マスクを毎日律儀に装着し、議員会館で「アベノマスクマン」と呼ばれている岸田氏は、安倍晋三首相や麻生太郎副総理の“意中の後継者”と見られている。
「岸田さんとテレビでご一緒させていただいたとき、どういう政策をしたいのか、憲法9条や外交についての考えをきっちり聞こうとしたが、最後まで言わなかった。口にしたのは、『ほっこりとした政治』をしたいという言葉だけでした。
これからの時代、リーダーが自分の意見を発信できないと国民はついていかない。いくら人柄が良くても、存在感を示せなければ一国のリーダーとは認められないし、長期政権など無理。総理を任せられません」(政治学者の岩井奉信・日本大学法学部教授)
「コロナ対策では収入が激減している世帯に30万円給付方針をまとめたが、与党内の反対で一律10万円給付にひっくり返された。あの判断を見ても国民の声を汲み取れていない。岸田氏が総理だったら何も決断できなかったのではないか。アベノマスクをして安倍首相に政権禅譲してもらおうなど全然ダメ」(筆坂秀世・元参院議員)