新型コロナウイルス感染を避けるための外出自粛で、年代を問わずみんなが運動不足やストレスを感じている。
しかしそのダメージがより大きいのは高齢者だ。健康政策・スポーツ医学を専門とする筑波大学教授の久野譜也さんは、高齢者がさらにつらい事態に至る“健康2次被害”リスクについても知っておくべきと警鐘を鳴らす。
今年後半戦、自粛で弱った心身を立て直し、元気で生き抜くための方法を聞いた。
◆認知症と筋力の低下が与えるダメージは深刻
筑波大学久野研究室と新潟県見附市が平均年齢70才の647人に行った調査で、新型コロナウイルス流行以降、「会話が減った69%」「運動不足66%」「もの忘れが気になる19%」との結果が出た。
この調査は運動教室に通う比較的アクティブな高齢者が対象で、教室休止わずか2か月での切実な声。もともと弱り気味の高齢者はさらなる健康悪化が予想されるという。
「基本的に運動不足は免疫力を下げ、閉じこもりのストレスはメンタルを蝕みます。いわばこれらは健康1次被害。ここからさらに、運動不足との関連が深い糖尿病や高血圧などの基礎疾患の悪化、筋力低下による転倒・骨折、認知機能の低下などの健康2次被害が懸念されます。いずれも高齢者にとっては切実な寝たきりなどの重大な事態にもつながるのです」
緊急事態宣言が解除されて若者は動き出しても、高齢者は、目の前の新型コロナ感染を恐れて閉じこもる人も少なくないという。
「ひとまず落ち着いたいまこそ、考えてみてください。せっかくみんなが一丸となって闘い、新薬やワクチンの開発が進んでコロナ禍が収束を迎えたとき、元気でいなければ残念ではありませんか。新型コロナウイルス感染、さらにこれからは熱中症も回避しながら、運動で元気を取り戻しておきましょう」