国の持続化給付金事業では、経産省から同事業を769億円で「一般社団法人サービスデザイン推進協議会」が受託、20億円を差し引いた749億円で電通に再委託したことが明るみに出た。電通からはさらに下請けに645億円で発注をし、104億円を“中抜き”した。今回の問題がなぜ国民の怒りを買っているかといえば、電通が“濡れ手に粟”で懐を潤わせている国家事業の予算が、公金で賄われているからだ。
一般的には民間の企業広告を仲介する「大手広告代理店」と評される電通だが、公共事業仲介業者としての側面を持っている。他にも政府や官公庁から電通が請け負う事業は数多く存在する。
非営利系シンクタンク「構想日本」や、ジャーナリズムNGO「ワセダクロニクル」などが、政府や官公庁が公表する統計や予算をデータベース化した「JUDGIT!」というサイトがある。
それによると、2015~2017年度だけでも、内閣官房、内閣府、総務省、法務省、外務省、財務省、文科省、厚労省、農水省、国交省、経産省などの各省庁が電通に440件の事業を発注している(再委託を含む)。
2015年度には防衛省から「自衛官募集広報宣伝」を受注し、募集案内やポスター印刷などを行なった。事業の目的には「職業としての自衛官を認知、受験に対する意識、受験の決心までの広報を行うことを目的とする」と記述されている。
2011年の東日本大震災以降、2018年までの7年間で、福島第一原発事故の風評被害の払拭や福島県の復興PRのために、国や福島県から約240億円が電通に委託されていた。