2012年12月の発足以降、安倍政権と財界は“蜜月関係”を築いてきた。「総理は首相官邸5階にある総理執務室の株価ボードの数字ばかり気にしている」(官邸筋)という話は永田町の常識で、“株価連動内閣”と揶揄されてきた所以である。
実際、看板政策の「アベノミクス」で多くの大企業が利益を伸ばした。大規模金融緩和(第1の矢)によって為替は円安に誘導され、自動車・電機メーカーなど輸出企業は利益を膨らませた。公共事業予算を積み増す財政出動(第2の矢)はゼネコンをはじめ建設業界を潤わせた。インバウンド需要を増加させる成長戦略(第3の矢)によって、百貨店や航空業界、ホテルなどの観光産業が業績を伸ばしてきた。
図はそうした業界の代表的な20社の営業利益(連結ベース)の推移をまとめたものだが、安倍政権発足時の2013年3月期と比べて、2019年3月期には多くの企業が大幅増益を成し遂げている。
だからこそ、財界は“安倍応援団”の一翼をなしてきた。経済ジャーナリストの福田俊之氏が指摘する。
「財界は法人税減税の恩恵も大きく、その見返りとばかりに自民党に多額の政治献金をしてきた。トヨタをはじめとする自動車メーカーは、とくにわかりやすく円安誘導でも業績を伸ばした。売り上げの6割を米国に依存するSUBARUはその典型。同社の営業利益は13年から20年にかけて倍増。営業利益率でトヨタを凌ぐ超高収益企業に変身した。献金額も業界でトヨタに次いで多い」