太陽光はウイルス感染対策に効果があるとされている。国際医療福祉大学病院内科学予防医学センター教授の一石英一郎さんが言う。
「太陽光に含まれる紫外線が、ウイルスを変性させて不活化させます。つまり、紫外線がウイルスを傷つけて感染力をなくすということです」
紫外線は体の表面に当たっても、体内には入らないので、太陽光を浴びても体内のウイルスは死なない。ただ、太陽光を浴びることで、「体内でのコロナ対策」に有効な働きが期待できる。
紫外線が肌に当たると皮下にあるコレステロールに化学反応が起こり、体内でビタミンDが合成される。ビタミンDは食べ物からカルシウムを吸収するのを助け、骨粗鬆症を防ぐのに役立つとして知られ、さらに近年では、ビタミンDが免疫力を高める働きがあるという研究結果が報告されている。体内に侵入したウイルスなどの異物に対して、それを排除しようとする免疫機能を必要なだけ働かせ、過剰な免疫反応を抑制する機能を高めると考えられている。
「ビタミンDの免疫調整の働きにより、風邪やインフルエンザなどの感染症の悪化を予防したり、心血管疾患、呼吸器疾患、糖尿病、がんなどさまざまな病気への効果が期待されています」(前出・一石さん)
新型コロナに関しては、ビタミンDの血中濃度が低い国ほど感染率、死亡率が高いことがわかっている。イギリスの研究者らが欧州20か国を調査したところ、被害が大きいイタリアやスペインの高齢者は、血中のビタミンDが少ない傾向にあったという。
日本でも、ビタミンD不足に陥る人が増えている。
「かつての日本人は、ビタミンDを豊富に含む魚を多く食べ、日光を浴びて生活していたため、体内にはビタミンDが豊富にありました。しかし、食生活の変化や、紫外線を恐れて日光を避けるなどで現代人はビタミンDが不足しがち。サプリメントだけで補おうとすると、過剰摂取によってめまいや吐き気、食欲不振に陥る人もいるので注意が必要です」(前出・一石さん)
その点、日光浴は安心かつ手っ取り早く、しかもタダでビタミンDを合成できる方法といえる。クリニックばんびぃに院長で小児科医の時田章史さんが話す。
「ビタミンDの合成は、肌が露出していればどの部位でも行われるので、露出が多いほど日光浴は短時間ですみます。これからの季節では快晴時なら1日10分ほどで充分です。日焼けも露出面にだけ起きるため、露出面積を増やして短時間ですませれば、日焼けのリスクは下がります。ビタミンDをつくるという観点でいえば、短時間の外出であれば日焼け止めは塗らない方がいいでしょう」