2000年代以降、数々の売れっ子芸人を輩出してきた漫才師No.1を決める大会『M-1グランプリ』。長年にわたり審査員を務めてきたオール巨人(68)が、その功績とM-1以後のお笑いについて語った。
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M-1が始まって以降、僕がいちばん感じた変化は、漫才師の地位が向上したことです。ひと昔前だと、役者やミュージシャンや文化人がおると、芸人はいちばん下に見られている雰囲気がありました。でも、今はリスペクトされているのを感じます。M-1の審査員になってからは、なおのこと、その変化を感じますね。
ただ、その審査員も、もうええかなと思ってるんです。近年は、審査員が審査されているような風潮があるでしょう。実際、大変なんです。最終決戦で3組中1組選ぶときも、自分だけちゃうかったらどうしよう……って思いますもん。2017年、とろサーモンが優勝したとき、僕が最初に和牛を選んで、そのあと4人でとろサーモンが続いたんですよ。正直、焦りましたね(笑)。そうしたら最後の2人、松本(人志)君と上沼(恵美子)さんも和牛に入れたので、ホッとしました。名誉ある敗退とも言われていました。
あとは、もう時代が変わりました。M-1に出ていた人たち、第5世代から第7世代と言われる人たちに任せた方がいいと思うんです。今の若手の方がセンスありますもん。そこもM-1の功績でしょうね。競争原理を持ち込むと、そのジャンルは一気に飛躍します。もう、僕が言ってあげられることなんてないですよ。
アドバイスをする役目は、中川家あたりが中心になっていけばいいと思っています。そうやな、それでも僕らが言ってあげられることがあるとしたら、芸人である前に、よき人間でありなさい、舞台を大事にしなさい、ということくらいかな。浮気くらいは芸の肥やしやから……ええと言いたいところですが、時代を考えたらNGでしょうね。