全米に「Black Lives Matter」(黒人の命は大事)運動が吹き荒れ、トランプ大統領の支持率は36%まで下落した。
追い打ちをかけるように出版されたのが、元側近のボルトン前大統領補佐官による暴露本『それが起きた部屋』だ。内容はトランプ外交の暴露や批判が中心で、日本のメディアも、〈在日米軍経費80億ドル要求〉(読売6月24日朝刊)〈2019年6月にあった米中首脳会談で、トランプ氏が習(近平・国家主席)氏に「大統領選で勝てるように保証して欲しい」と懇願し、中国が大豆と小麦をより多く購入することが、選挙結果にも重要だと強調した、とも明らかにしている〉(朝日同24日朝刊)などと報じた。
その中身もさることながら、興味深いのは日本や諸外国の反応だ。
在日米軍経費80億ドルの要求について、河野太郎・防衛相は「米国から要求があったことはない」と否定。それ以降、日本政府は静観の構えだ。
首脳会談の中身をバラされた中国も沈黙を貫いている。軍事評論家の潮匡人氏がいう。
「ボルトン氏はブッシュ政権時代にイラク戦争を強行したネオコンの1人で、北朝鮮に対しても超強硬派として知られる。近年の安倍政権の政策との親和性も高く、知日家として日本とのパイプもあった。そんな人物が外交の内情を暴露したのだから、政府関係者も困惑しているのは間違いない。
中国にも、ボルトン氏は一貫してトランプ氏以上に強硬な姿勢を取ってきた。中国政府はトランプ氏もボルトン氏も相手にしたくないでしょう」
“敵の敵は味方”という単純な構図ではないのだ。