韓国でも日本と同様、コロナ禍で「巣ごもり消費」が定着している。自宅でドラマや映画を楽しめる動画サイトや、全国各地からお取り寄せグルメを利用する人が増え、テレビでは「コロナ太りに気を付けましょう」とキャンペーンされるほど。そんな中、巣ごもり需要をもっともうまく活用し成功したのが韓国エンターテインメント業界だ。ソウル在住のジャーナリスト・趙章恩さんが解説する。
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3月以降、BTS(防弾少年団)やTWICE、東方神起など、K-POP業界の全てのコンサートが中止または延期を余儀なくされている。コンサートだけでなく年内の活動の見通しも立っておらず、内需が小さく海外市場に重点を置くK-POP業界にとって、厳しい状況が続いている。そんな中、BTSの所属事務所であるビッグヒットエンターテインメントが初の試みとして積極的に行っているのがオンラインのイベントやコンサートだ。
4月18、19日の2日間にかけて開催したBTSのオンラインイベント「BANG BANG CON(BTS ONLINE CONCERT WEEKEND)」は、YouTubeのBTS公式チャンネル「BANGTANTV」で、過去のコンサートやファン・ミーティングの模様8編を無料で公開。世界中から約224万人が同時視聴し、大きなニュースとなった。
さらに6月14日には、無観客の有料オンラインコンサート「BANG BANG CON The Live」を開催。「自宅で楽しむBTS(韓国ではBANGは「部屋」、BANG TANは「防弾」の意)」という意味で名付けられた同コンサートは、ファンと直接接触できる機会が無くなった代わりに、オンラインならではの試みを積極的に行った。
例えば、特設された2つのステージと5つの部屋では、視聴者が画面越しにメンバーの自宅リビングや部屋に招かれるような空間を演出し、視聴者が6つのアングルを楽しめるマルチビューにも対応。メンバーがスマートフォンカメラで自撮りをしながらトークしたり、メンバーと目を合わせて15秒間瞬きせず我慢するゲームなど、約100分間にわたるコンサート時間の中で、ファンを楽しませるためのさまざまな仕掛けを盛り込んだ。
だが、もっと話題になったのはこのオンラインコンサートのチケット売り上げだ。チケットの金額は、ファンクラブ会員は約2600円、一般は約3500円。世界107の国や地域から視聴者が集まり、最終的なチケット購入者数は75万6600人にのぼった。最低でも、単純計算で19億円以上を一晩で稼ぎ出したことになる。BTSが通常行うコンサート1回あたりのチケット売り上げは約6.7億円なので、通常の3倍を超える売り上げに匹敵する。
コンサート開催以降、有料ファンクラブ会員は1万人以上増加し、BTSの公式カラーであるパープルのフォトカードやキーホルダーなど、ファンクラブ限定記念グッズも60万個以上売れた。これらの売り上げを足すとさらに記録は伸びそうだ。ビッグヒットエンターテインメントは今回のコンサートを、「有料オンラインコンサートとしては世界最大規模になった」と話した。