救世主か?“怪物”か?──。ベストセラーとなっている『女帝 小池百合子』はそう問いかけているが、厳しい目を持つ女性たちに小池百合子都知事(67)の「真実の姿」はどう映っているのだろうか。作家の下重暁子氏(84)が分析する。
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小池百合子さんが学生時代を過ごしたエジプトのカイロに、私は半年住んでいたことがあります。
あれは1977年のことでしたが、カイロで小池百合子さんのご家族が日本料理店を経営していて日本人がよく利用していたと聞きました。そこの娘さんがカイロ大学に通っていたと話題になっていたようです。日本人というのが珍しく、さらに女性だということで印象に残ったのでしょう。それが小池さんでした。
その後、政治家となられた姿を見るようになりましたが、キャスター経験もあるからか発信力があって、これは才能なのかもしれません。
小池さんの言葉にカタカナが多すぎるという批判を耳にしますが、彼女の外来語の使い方は「都市が封鎖されている、いわゆるロックダウンをされている」と言葉を添えるから気にならない。むしろ私は上手だと思います。言葉遣いも的確で、人の気持ちを掴むのがうまい。勘がいいのでしょう。
政治家は言葉で勝負するものです。それなのに言葉が人に伝わるような政治家はあまりいません。小池さんは心を込めているのかどうかは分かりませんが、発言が心に残ります。多くの政治家はこれに学んだほうがいいとさえ思っています。
ですが──。小池さんには、どうしてももったいないところがあります。