新型コロナウイルスの影響が少しずつ落ち着き始め、最近は韓国でも社会的距離を保ちながら映画館や劇場などが営業を再開し始めた。しかし、一度に数万人が集まるコンサートではそうはいかない。K-POP業界は、3月以降全てのコンサートの延期または中止を余儀なくされている。
そんな中、韓国の人気アイドルグループBTS(防弾少年団)は6月14日、無観客の有料オンラインコンサート「BANG BANG CON The Live」を実施。有料オンラインコンサートとしては世界最大規模となる、107の国・地域の人々約75万人が集結した。オンラインならではの仕掛けも用意され、多くのファンを熱狂させた同公演を、ソウル在住ジャーナリストの趙章恩さんが解説する。
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BTSのコンサートといえば、秒速でチケットが完売し、サーバーがダウンするほどの騒ぎになる。だが、「BANG(韓国語で「部屋」の意味)で楽しむBANG TAN(防弾)コンサート」という意味で名付けられた今回の「BANG BANG CON」は、その名の通り、全世界のファンが、自宅にいながら「特等席」でBTSのコンサートを楽しめて、座席が売り切れる心配もない。SNSでは、ファンクラブ会員でない人も「あのBTSのコンサートを一度は観てみたい」とチケットを求める人が続出した。
コンサートは、約100分間全12曲にわたって行われた。オープニングとなる1曲目は「DOPE」。リーダーのRM(25)が部屋の扉を開けて、「ようこそ、BANG BANG CONは初めてだよね」と語りかけながらコンサートの幕が開いた。「Boyz With Fun (フンタン少年団)」とアップテンポな2曲が続き、トークを挟んで緩やかなテンポの「いいね!」を披露。続く「Just One Day」では椅子に座ったまま歌うパフォーマンスでリラックスムードを演出し、衣装替えとCMが終わると、2~3人ずつユニットを組んで再登場。ジン(27)、J-HOPE(26)、ジョングク(22)が「Jamais Vu」を情熱的に歌う姿は美形すぎて言葉を失った。
次のユニットでは、90年代風のスーツに身を包んだRMとSUGA(27)が「Respect」を披露し、同い年のジミン(24)とV(24)は学ランのような制服姿で登場。手をつないで「Friends」を熱唱する微笑ましいパフォーマンスでユニットコーナーを終えた。その後、「Black Swan」、「Boy With Luv(リミックスバージョン)」と続き、「GOGO」、「Anpanman」でクライマックスに向けて熱気を帯びていく。最後のアンコールは、多くの人が聞き覚えのある「Spring Day」。「またファンと直接会える日を信じて」というメッセージを意識させる選曲で締めくくった。
曲ごとにセットの雰囲気ががらりと変わり、デビューして間もない頃の歌が聴けたり、ユニットでのパフォーマンスなど時間を感じさせない構成となっていて、「え?もう終わり?」と思うほどあっという間の100分だった。画面に映し出されるメンバーに見惚れて「あ~イポ~(かわいい)」と数千回唱えたのは私だけでないはずだ。