国内

相次ぐ中国産食品の汚染 いまだに日本の衛生観念とギャップ

コロナウイルスが検出された北京の新発地市場(写真/共同通信社)

 6月15日、厚労省は神戸と東京での検疫の結果、中国から輸入された生のニンジンから厚労省が定める残留農薬基準値を上回る農薬「トリアジメノール」が検出されたと公表した。食環境衛生研究所マーケティング部の丸橋大志氏が指摘する。

「トリアジメノールは、有機含窒素系の殺菌剤として使用されている農薬成分です。人に対する影響評価には特記すべきデータがありませんが、ラットの試験では経口投与で体への毒性が指摘されています」

 該当する「生鮮ニンジン」は、国内2つの業者が別々に輸入した。いずれも外食チェーンや食品メーカー、問屋を取引先とする会社だ。1つの会社が扱ったニンジンからは基準値の2倍、別の会社が扱ったニンジンからは10倍のトリアジメノールが検出された。厚労省医薬・生活衛生局食品監視安全課輸入食品安全対策室では「一部が国内に流通したことは事実です」としている。

 過去に中国産食品は何度も日本に「禍」を招いた。2008年には、殺虫剤の成分「メタミドホス」が混入した中国産の冷凍ギョーザを食べた日本人10人が食中毒を起こした。日本側は「日本国内での混入の可能性はない」としたが、中国側はなかなか責任を認めず、混入した犯人(中国の工場で働く従業員)が逮捕されたのは2年後だった。

 その後も食の安全が脅かされる事態が相次いだ。『ルポ 中国「潜入バイト」日記』で中国の食品事情を取材したジャーナリストの西谷格氏が言う。

「2014年には日本マクドナルドが輸入元とする中国業者のチキンナゲットに、期限切れの肉や床に落ちた肉が混入していたことが発覚し、マクドナルドが販売を中止する事態となりました。当時、問題が起きた工場を現地取材しましたが、従業員たちは『床に落ちた肉を捨てるのはもったいない』『別に死ぬわけではない』などと答えており、問題の重大さに気付いていない様子でした。

 中国でも近年、食の安全を求める声は高まり、衛生管理体制も整ってきてはいますが、いまだに衛生観念に日本とのギャップがあることは否めません」

関連記事

トピックス

被害者の手柄さんの中学時代の卒業アルバム、
「『犯罪に関わっているかもしれない』と警察から電話が…」谷内寛幸容疑者(24)が起こしていた過去の“警察沙汰トラブル”【さいたま市・15歳女子高校生刺殺事件】
NEWSポストセブン
NHKの牛田茉友アナウンサー(HPより)
千葉選挙区に続き…NHKから女性記者・アナ流出で上層部困惑 『日曜討論』牛田茉友アナが国民民主から参院選出馬の情報、“首都決戦”の隠し玉に
NEWSポストセブン
豊昇龍(撮影/JMPA)
師匠・立浪親方が語る横綱・豊昇龍「タトゥー男とどんちゃん騒ぎ」報道の真相 「相手が反社でないことは確認済み」「親しい後援者との二次会で感謝の気持ち示したのだろう」
NEWSポストセブン
フジテレビの取締役候補となった元フジ女性アナの坂野尚子(坂野尚子のXより)
《フジテレビ大株主の米ファンドが指名》取締役候補となった元フジ女性アナの“華麗なる経歴” 退社後MBA取得、国内外でネイルサロンを手がけるヤリ手経営者に
NEWSポストセブン
「日本国際賞」の授賞式に出席された天皇皇后両陛下 (2025年4月、撮影/JMPA)
《精力的なご公務が続く》皇后雅子さまが見せられた晴れやかな笑顔 お気に入りカラーのブルーのドレスで華やかに
NEWSポストセブン
2024年末、福岡県北九州市のファストフード店で中学生2人を殺傷したとして平原政徳容疑者が逮捕された(時事通信フォト)
《「心神喪失」の可能性》ファストフード中学生2人殺傷 容疑者は“野に放たれる”のか もし不起訴でも「医療観察精度の対象、入院したら18か月が標準」 弁護士が解説する“その後”
NEWSポストセブン
被害者の手柄さんの中学時代の卒業アルバムと住所・職業不詳の谷内寛幸容疑(右・時事通信フォト)
〈15歳・女子高生刺殺〉24歳容疑者の生い立ち「実家で大きめのボヤ騒ぎが起きて…」「亡くなった母親を見舞う姿も見ていない」一家バラバラで「孤独な少年時代」 
NEWSポストセブン
6月にブラジルを訪問する予定の佳子さま(2025年3月、東京・千代田区。撮影/JMPA) 
佳子さま、6月のブラジル訪問で異例の「メイド募集」 現地領事館が短期採用の臨時職員を募集、“佳子さまのための増員”か 
女性セブン
〈トイレがわかりにくい〉という不満が噴出されていることがわかった(読者提供)
《大阪・関西万博》「おせーよ、誰もいねーのかよ!」「『ピーピー』音が鳴っていて…」“トイレわかりにくいトラブル”を実体験した来場者が告白【トラブル写真】
NEWSポストセブン
運転席に座る広末涼子容疑者
《広末涼子が釈放》「グシャグシャジープの持ち主」だった“自称マネージャー”の意向は? 「処罰は望んでいなんじゃないか」との指摘も 「骨折して重傷」の現在
NEWSポストセブン
大阪・関西万博が開幕し、来場者でにぎわう会場
《大阪・関西万博“炎上スポット”のリアル》大屋根リング、大行列、未完成パビリオン…来場者が明かした賛&否 3850円えきそばには「写真と違う」と不満も
NEWSポストセブン
真美子さんと大谷(AP/アフロ、日刊スポーツ/アフロ)
《大谷翔平が見せる妻への気遣い》妊娠中の真美子さんが「ロングスカート」「ゆったりパンツ」を封印して取り入れた“新ファッション”
NEWSポストセブン