芸能

コロナ禍で注目の中園ミホ 占い師としての活動が創作に影響も

20周年特別編が放送される『やまとなでしこ』(公式HPより)

 新型コロナウイルスの感染拡大のため、ストップしていた連続ドラマの放送が再開。過去に放送された名作ドラマの再放送ラッシュも続いており、ドラマ業界が盛り上がりを見せている。中でも、脚本家・中園ミホさんの作品が改めて関心を集めている。コラムニストでテレビ解説者の木村隆志さんが、今注目の理由について解説する。

 * * *
『やまとなでしこ』(フジテレビ系)の再放送が明らかになったとき、ネット上は大いに盛り上がりました。同作は2000年に放送された松嶋菜々子さん主演のラブコメで、最終話は世帯視聴率34.2%を叩き出した名作(ビデオリサーチ調べ、関東地区)。コロナ禍による月9ドラマ『SUITS/スーツ2』の放送中断に伴い、「20周年特別編」として再編集した超解像リマスター版を6日・13日の2週×2時間で放送されるのです。

 このニュースに関連づけて注目したいのは、6月17日に続編の放送がスタートした『ハケンの品格』(日本テレビ系)。スーパー派遣・大前春子がチェーンソーで扉を破壊するなどの破天荒な姿を見せて、いきなりSNSを盛り上げています。

さらに、「今年は『ドクターX』(テレビ朝日系)の続編は見送りか」などの記事が複数のメディアで報じられ、そのたびにファンたちの間で「残念」「仕方ない」などとさまざまな声が挙がっていました。

 この3作は脚本家の中園ミホさんが手がけたヒット作であり、『やまとなでしこ』が2000年、『ハケンの品格』が2007年、『ドクターX』が2010年代と、各時代で支持を集めてきたことが分かります。コロナ禍に見舞われた今、なぜ中園ミホさんの作品が求められているのでしょうか。

◆共感・痛快な物語を支えるリアリティ

『やまとなでしこ』『ハケンの品格』『ドクターX』の共通点は、主人公が「仕事のできる女性」「自立した女性」であり、言動にブレや迷いがないこと。そんなたくましい主人公が社会の問題点や悪しき慣習を打ち破っていく痛快な姿が女性視聴者の共感を誘ってきました。新型コロナウイルスの脅威が続く中、中園さんのドラマは、視聴者の「せめてドラマくらいはスカッとさせてほしい」という潜在願望を満たしてくれるものなのでしょう。

 ドラマで視聴者の共感を誘い、痛快な気持ちにさせるために前提として必要なのは、描写のリアリティ。過酷な労働環境、ハラスメント、差別、女性の生きづらさなど、社会の問題点や悪しき習慣の描写がリアルだからこそ視聴者は主人公の活躍に共感し、留飲を下げられるのです。

 その意味で、当事者たちへの取材をリアリティあるセリフにつなげてきた中園さんの脚本は業界最高峰。リアリティを求めて派遣社員たちとのコミュニケーションを取り続けたり、客室乗務員との合コンをセッティングしたりなどのエピソードは業界内で知れ渡っています。

 また、中園さん自身、当事者たちの話を聞くほど思い入れは強くなるため、必然的に生きづらさを抱える女性たちを応援するような物語になり、だからこそ視聴者は神野桜子、大前春子、大門未知子の姿がまぶしく見えるのでしょう。

 そして、忘れてはいけないのは、中園さんが脚本家兼占い師でもあること。中園さんは14歳から学び続けて脚本家になる前の24歳で占い師になったほか、現在も占いサイトを運営し、占い本を手がけるなど、多くの人々から話を聞き、その人生にふれてきました。ドラマには占った人をモデルにしたキャラクターも少なくないようですし、「脚本家としての目線に占い師としての経験を加えている」という点がリアリティにつながっているのです。

◆『ドクターX』で見せた割り切り

関連記事

トピックス

大阪・関西万博で天皇皇后両陛下を出迎えた女優の藤原紀香(2025年4月、大阪府・大阪市。撮影/JMPA)
《天皇皇后両陛下を出迎え》藤原紀香、万博での白ワイドパンツ&着物スタイルで見せた「梨園の妻」としての凜とした姿 
NEWSポストセブン
石川県の被災地で「沈金」をご体験された佳子さま(2025年4月、石川県・輪島市。撮影/JMPA)
《インナーの胸元にはフリルで”甘さ”も》佳子さま、色味を抑えたシックなパンツスーツで石川県の被災地で「沈金」をご体験 
NEWSポストセブン
何が彼女を変えてしまったのか(Getty Images)
【広末涼子の歯車を狂わせた“芸能界の欲”】心身ともに疲弊した早大進学騒動、本来の自分ではなかった優等生イメージ、26年連れ添った事務所との別れ…広末ひとりの問題だったのか
週刊ポスト
2023年1月に放送スタートした「ぽかぽか」(オフィシャルサイトより)
フジテレビ『ぽかぽか』人気アイドルの大阪万博ライブが「開催中止」 番組で毎日特集していたのに…“まさか”の事態に現場はショック
NEWSポストセブン
隣の新入生とお話しされる場面も(時事通信フォト)
《悠仁さま入学の直前》筑波大学長が日本とブラジルの友好増進を図る宮中晩餐会に招待されていた 「秋篠宮夫妻との会話はあったのか?」の問いに大学側が否定した事情
週刊ポスト
新調した桜色のスーツをお召しになる雅子さま(2025年4月、大阪府・大阪市。撮影/JMPA)
雅子さま、万博開会式に桜色のスーツでご出席 硫黄島日帰り訪問直後の超過密日程でもにこやかな表情、お召し物はこの日に合わせて新調 
女性セブン
被害者の手柄さんの中学時代の卒業アルバム、
「『犯罪に関わっているかもしれない』と警察から電話が…」谷内寛幸容疑者(24)が起こしていた過去の“警察沙汰トラブル”【さいたま市・15歳女子高校生刺殺事件】
NEWSポストセブン
豊昇龍(撮影/JMPA)
師匠・立浪親方が語る横綱・豊昇龍「タトゥー男とどんちゃん騒ぎ」報道の真相 「相手が反社でないことは確認済み」「親しい後援者との二次会で感謝の気持ち示したのだろう」
NEWSポストセブン
「日本国際賞」の授賞式に出席された天皇皇后両陛下 (2025年4月、撮影/JMPA)
《精力的なご公務が続く》皇后雅子さまが見せられた晴れやかな笑顔 お気に入りカラーのブルーのドレスで華やかに
NEWSポストセブン
大阪・関西万博が開幕し、来場者でにぎわう会場
《大阪・関西万博“炎上スポット”のリアル》大屋根リング、大行列、未完成パビリオン…来場者が明かした賛&否 3850円えきそばには「写真と違う」と不満も
NEWSポストセブン
真美子さんと大谷(AP/アフロ、日刊スポーツ/アフロ)
《大谷翔平が見せる妻への気遣い》妊娠中の真美子さんが「ロングスカート」「ゆったりパンツ」を封印して取り入れた“新ファッション”
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 高市早苗が激白「私ならトランプと……」ほか
「週刊ポスト」本日発売! 高市早苗が激白「私ならトランプと……」ほか
週刊ポスト