美術史家で明治学院大学教授の山下裕二氏とタレントの壇蜜という、日本美術応援団の2人が、日本の美術館の常設展を巡るシリーズをスタートさせた。今回2人が訪れたのは、明治神宮外苑・聖徳記念絵画館だ。
山下:ナマの日本美術に触れることをモットーに、週刊ポストで「大人の修学旅行シリーズ」ではこれまで若冲展など企画展を巡ってきましたが、今回より美術館の常設展を巡る連載をスタートします。
壇蜜:連載のパートナーとして、よろしくお願いします。常設展では通年同じ作品が鑑賞できるのですか?
山下:常設展とはいえ、実は通年では展示作品が替わるものなのです。ただしここ聖徳記念絵画館では開館以来展示が替わらない。いわば”究極の常設展”として連載初回に訪れました。
壇蜜:未来永劫この空間で同じ作品が時を刻んでいくなんて、ロマンがあります。
山下:明治天皇の御一代記を描いた80枚の壁画があり、当代一流の画家による優れた絵画を鑑賞できます。
壇蜜:今私たちが立つ場所では、明治天皇のご生誕から順に壁画が続きますね。
山下:国産大理石で築かれた美しい中央ホールを境に右手には嘉永5年のご生誕からを描く日本画が40枚、左手には後半生を描く洋画が40枚収められている。伝統と新しい技法が併存する姿は、日本の近代を象徴しているともいえます。