今なお、終わりが見えない、新型コロナウイルスの感染拡大。東京都内では連日、100人を超える感染者が出ているが、小池百合子都知事(67才)が感染拡大の場として槍玉に挙げているのが「夜の街」だ。
しかし、実際に感染が怖いのは夜の街だけではない。危険な徴候はいたるところに見られる。最大の警鐘は、「感染経路不明者」の増加だ。都の新規感染者のうち、感染経路不明者は4割弱に達する。
国際医療福祉大学病院内科学予防医学センター教授の一石英一郎さんが危惧する。
「経路不明者がさらに経路不明者に感染させると、ねずみ算式に感染者が倍増し、やがて感染爆発にいたります」
事実、都の対策本部会議メンバーである国立国際医療研究センターの大曲貴夫さんは、7月2日の会見で、「いまの状況が続くと4週間後には感染経路が追えない新規陽性者が1日160人に増える。10日続けば1600人の新入院患者が生じる」と警告した。
「無症状感染者」が多いことも気がかりだ。
「感染者のうち、無症状感染者からの感染が全体の45%を占めるという研究結果が、最近、科学誌『サイエンス』に掲載されました。特に若者は感染後も無症状のままで、本人が気づかないうちに周囲にウイルスをまき散らす可能性があります」(一石さん)
「陽性率」の問題もある。陽性率とは、その1週間に陽性が判明した人数の平均を、PCR検査した人数の平均で割った数値だ。緊急事態宣言下では4月11日の陽性率31.7%が最大で、7月3日の都内の陽性率は4.7%だった。
それをもって西村康稔経済再生担当相は「都内の陽性率はまだ低い」と強調するが、そこには“まやかし”がある。昭和大学客員教授(感染症)の二木芳人さんが言う。
「東京全体では4.7%ですが、新宿区の検査スポットに限ると6月22~26日の平均は22.5%に達しているとのこと。6月上旬の倍以上です。検査を受けるのは夜の街の関係者だけではないため、陽性率の急上昇は市中感染の拡大を示唆します」