安倍政権に《11月退陣危機》が迫っている。11月には米国で大統領選挙(11月3日投開票)が実施され、来年の東京五輪を開催するか中止かを最終判断するタイムリミットとされる。
安倍晋三・首相と親密なトランプ大統領が落選すれば、日本は対米外交の見直しを迫られ、五輪中止の決定で安倍政権が開催を前提に進めてきた観光立国などの経済政策の破綻が一層はっきりする。
「米国で政権交代が起きれば新政権は残り任期が1年しかない安倍首相を相手にしないでしょう。そのうえ経済の展望がなくなることで首相の求心力は一気に下がり、与党内でも米国からも総理交代を求める声が強まるはずです」(政治ジャーナリスト・野上忠興氏)
自民党内では、首相の「11月退陣」をにらんで“ポスト安倍”の候補たちが走り出し、政権を支えてきた実力者の駆け引きが活発化している。
「危機の前に解散・総選挙を打つべき」。そう首相に進言して「9月解散、10月総選挙」を唱えているのが麻生太郎・副総理だ。
麻生氏は公明党幹事長と会談して「秋解散」を打診し、下村博文・自民党選対委員長と協議するなど慌ただしい動きを見せている。「解散権」を持たない副総理が解散風を吹かせるのは異例だ。
10月に総選挙を実施しても「11月危機」が去るわけではない。が、麻生氏には、「選挙で大敗しなければ来年9月の総裁任期まで安倍政権をもたせられる」(麻生側近)との目論見があるようだ。