支持率が低迷する安倍内閣。新聞各紙の5月の世論調査では安倍内閣の支持率は、朝日新聞が29%、毎日新聞が27%をつけた。政界では支持率20%を割れば「退陣水準」といわれる。その水準に近づきつつある。解散総選挙も浮上し、いよいよ安倍政治が終焉を迎えようとしている――。
安倍首相は第1次内閣の約1年間を合わせた首相在職期間が戦前戦後を通じて歴代首相の1位であり、今年8月24日には、2度目に首相になってからの「連続在職記録」でも現在1位である大叔父の佐藤栄作元首相(安倍首相の祖父・岸信介元首相の実弟)の7年8か月の記録を抜く。
しかし、必ずしも国民に期待されて首相に再登板したわけではなかった。
2012年の自民党総裁選を振り返るとそのことがわかる。自民党員の投票では安倍氏は石破茂氏、石原伸晃氏に次いで3位だった。それが国会議員の票を合わせて2位となって決選投票に進み、党員が参加しない自民党の国会議員だけで行われる決戦投票で石破氏を破って総裁に就任すると、その年の総選挙で「デフレ脱却」を掲げ、民主党政権を倒して首相に返り咲いた。
その「国民に期待されなかった総理」が、なぜ、これほどの長期政権を保つことができたのか。政治ジャーナリスト・野上忠興氏は「強運」を理由にあげる。
「安倍首相が政権に返り咲いたとき、2大政党の一角だった民主党は完全に国民の支持を失っていた。その後、民主党は分裂を繰り返していよいよ弱体化していく。野党が弱いから、安倍首相は解散・総選挙を打ち、国政選挙で6連勝する。実際は野党に魅力がないために棄権票が増えているだけで、自民党が得票を大きく増やしているわけではないが、それでも選挙に勝ち続けると総理の力は強まる」