いまだ外出しづらい日々が続く。「気晴らしに夫婦で外食でも」とはいかず、食事の支度ができない日は、冷凍食品やインスタント食品、レトルト食品、菓子パンなどに頼ることもあるはずだ。
こうした加工食品は、「安く」手に入り、忙しいときでも、子供でも「簡単」に用意できて、しかも「おいしい」。しかし、いいことばかりではない。食の安全に詳しいジャーナリストの小倉正行さんが言う。
「こうした食品は『超加工食品』と呼び、食品添加物がたっぷり入っていたり、脂質や塩分量が多かったりする。それぞれの添加物などは食べてすぐに体に異常をきたすものではありません。ただし、長期的に摂取すると、糖尿病やがんなどになりやすくなるリスクが指摘されています」
欧米では「超加工食品に課税して消費量を減らすべき」という議論が出てきている。特にフランスでは、政府がいまの消費量の20%以上減らすよう呼びかけているのだ。
◆危険なのにやめられなくなる
具体的にどんな食べ物が「超加工食品」に該当するのだろうか。米国ボストン在住の内科医、大西睦子さんが説明する。
「2009年にブラジルのサンパウロ大学の研究チームが提唱した『NOVA分類』では、すべての飲食物を加工の性質や目的、程度に応じて4段階に分類しています。この中で最も加工度が高いものが『超加工食品』です」
NOVA分類では、最も加工度が低い「生鮮食品・ほぼ無加工の食品」には野菜や果物、豆類、肉、魚、牛乳など。
続いて、料理塩や砂糖、植物油、バター、酢などの「加工食品の材料」がある。
次に、パンやチーズ、薫製肉など、家庭でも使う材料を使って加工した「加工食品」。
そして加工度“最上級”の「超加工食品」は、「大量生産された菓子パン、インスタント食品、保存料を使用した肉加工品など、家庭で調理する際には使わない添加物や油脂などを過剰に加えた食品」となる。
「炭酸飲料を含む清涼飲料水、スナック菓子、チョコレート、菓子パン、ケーキ、ビスケット、アイスクリーム、ハンバーガー、ホットドッグ、チキンナゲットなどが『超加工食品』にあたります」(大西さん・以下同)