テレビを見ているとやたら耳にする「第7世代」と呼ばれる芸人たち。新時代の若手芸人たちは“ガヤ”として各メディアに引っ張りだこでいまや一世を風靡しつつある。
でも、そもそも“第7世代”と括られる芸人とは──? その“正体”と人気の理由をお笑い評論家のラリー遠田さんが紹介する。
「霜降り明星のせいやさんがラジオ番組で自分たちを含む若手芸人たちを“第7世代”と言い始めたのをきっかけに、彼らと同世代の芸人が注目されるようになりました。明確な定義はありませんが、平成生まれで芸歴10年以内ぐらいの芸人を指して使われることが多いようです。とんねるず、ウッチャンナンチャン、ダウンタウンの世代が“お笑い第3世代”と呼ばれていたことがありました。
彼らは新しい価値観の笑いを生み出し、ゴールデンタイムに冠番組を数多く持つなどひとつの時代を作りましたが、第7世代の大きな特徴は、テレビを絶対視していないということ。彼らが物心ついた頃にはネットが普及していたため、ネット番組やYouTubeのメディアになじみも深く、独自の笑いを追求しネットを駆使しながら笑いを生み出しているのです」(ラリー遠田さん)
テレビに縛られることなく活躍の幅を広げる第7世代。“お笑い”の中身も、先輩たちの枠にとらわれず、新しい形を作ってほしい。
◆霜降り明星/吉本興業
せいや(27才)、粗品(27才)
【profile】
2013年結成。ボケのせいやとツッコミの粗品は、『M-1グランプリ』(2018年)の第14代目王者となったのを機に、知名度は一気に全国区に。現在レギュラー番組を10本以上抱える売れっ子。毎日アップされている『しもふりチューブ』(YouTubeチャンネル)の登録者数は87万人を超える。
「コンビとして『M-1グランプリ』優勝。ピン芸人として粗品さんは『R-1ぐらんぷり』(2019年)優勝を果たしていて、実力と実績では第7世代の中でもずば抜けています。せいやさんは“第7世代”という言葉の提唱者でもあり、名実共にこの世代を牽引するリーダー的な存在です」(ラリー遠田さん・以下同)
◆EXIT/吉本興業
りんたろー。(34才)、兼近大樹(29才)
【profile】
2017年結成。ボケの“かねち”こと兼近と、ツッコミのりんたろー。の年の差コンビ。昨年パシフィコ横浜での単独ライブでは5000人を集客した。彼らのファンを“ジッター”と呼び、女性誌の表紙を飾るなどアイドル級の人気を誇る。
「『チャラ男』的な見た目と内面の真面目さのギャップが売りのネオ渋谷系“パリピ”漫才師です。ネタやキャラクターを作り込むセルフプロデュース能力が優れているため、結成して間もなく若者を中心に大ブレークを果たしました」
◆ミキ/吉本興業
亜生(あせい・31才)、昴生(こうせい・34才)
【profile】
2012年結成。ツッコミの昴生とボケの亜生による実の兄弟コンビ。横山やすし・西川きよしや、ダウンタウンなどが過去に大賞を受賞した、上方演芸界で最も長い歴史を持つ賞レース・上方漫才大賞で昨年新人賞を受賞。
「血を分けた兄弟だからこそできるピッタリ息の合った超高速の掛け合いが魅力的な本格派の漫才コンビです。明るく爽やかなルックスの弟・亜生さんが女性ファンに愛されている一方、WHO(世界保健機関)のテドロス・アダノム事務局長似の兄の昴生さんは先輩芸人からもそのネタでよくイジられる“かわいがられ”キャラです」