「死ぬとは思わなかった」。母親は、警察の取り調べに対し、そう口にしたという。
6月13日、東京・大田区蒲田のマンションの一室で、たったひとりで息絶えた幼い女の子が発見された。警視庁は7月7日、娘の稀華ちゃん(のあ・3才)を置き去りにして死亡させたとして、母親の梯沙希容疑者(かけはし・さき・24才)を保護責任者遺棄致死の容疑で逮捕。梯容疑者は、8日もの間、稀華ちゃんをひとり自宅に閉じこめて、鹿児島まで交際男性に会いに行っていた。出発時、帰りの便は予約していなかったという。
「梯容疑者は『パンやお菓子、お茶などを置いていた』と話しています。発見時には死後2~3日が経過しており、胃の中は空っぽ。部屋にはゴミが散乱していました」(捜査関係者)
“放置”という虐待行為によって、わが子を死に追いやった梯容疑者。実は、彼女自身も、両親に虐待され、宮崎県内の児童養護施設で育った過去を持つ。当時の様子について、同じ施設で生活していた女性は次のように語る。
「沙希が入所してきたのは小学生のときです。かなり我が強く、女の子の間では好かれていませんでした。煙たがられていることに気づかず、なれなれしい口調で話しかけてしまうような鈍さがあったと思います。
沙希には、思い通りにならないと驚くほど態度が変わる一面がありました。施設内の百人一首大会では、札が取れないとイライラし、球技大会では張り切って練習していたのに、チーム分けに不満があると途端にやる気をなくしていました」
梯容疑者は、高校卒業後、上京し就職。稀華ちゃんを出産後に結婚し、すぐに離婚した。その後は、居酒屋で働きながら稀華ちゃんと2人で暮らしてきた。
「外出時に稀華ちゃんを放置することは常態化していた可能性があります。また、梯容疑者は事件の1か月ほど前にも鹿児島の“彼”に会いに行くため、3日間稀華ちゃんを放置して出かけていました。それが『これぐらいなら大丈夫』という“成功体験”になってしまったのかもしれません。
さらに、梯容疑者は稀華ちゃんを発見してから通報までの間に、交際男性とのLINEを削除、オムツを新しいものに取り替えるなど、隠蔽工作をしていました。稀華ちゃんのお尻は、オムツかぶれで異常なほどただれ、真っ赤に腫れ上がっていました」(前出・捜査関係者)
梯容疑者の知人は、彼女に子供がいることを知らなかったという。梯容疑者が通っていたバーの店員が証言する。