日本の豊洲市場で新型コロナウイルスの感染者が出るかもしれない。そう考えざるを得ないニュースが6月12日、世界を駆け巡った。
中国・北京市の新発地卸売市場で、まな板から新型コロナウイルス(以下、新型コロナ)が検出されたのだ。輸入サーモンの加工に使われていたそのまな板には、ウイルス保持者の飛沫が付着したものとみられている。
中国からの魚介類(加工品含む)の輸入量は年間約40万トン(2019年度)。そこでカットされたサーモンが日本へ輸出され、それを水際で見逃したら──どれだけ手洗いを励行していても、食材経由で感染してしまう可能性もある。同じ卸売市場に関連する新型コロナ感染者は200人を超えたと報じられている。
「冷凍された海産品については、ウイルスが長期間生存できる」という恐ろしいデータもあるのだ。
茹でても炒めてもよく、お弁当のいろどりおかずにも便利で、ジュースの素材としても人気の家庭の味方、にんじんも汚染されている。
6月15日、厚生労働省が東京と神戸での検疫の結果、中国から輸入されたにんじんから農薬「トリアジメノール」が検出されたことを明らかにしたのだ。残留量は、厚労省が定める基準値を上回っていた。
食環境衛生研究所マーケティング部の丸橋大志さんが解説する。
「トリアジメノールは殺菌剤として使用される有機含窒素系の農薬です。人に対する影響評価には特筆すべきデータが見当たりませんが、ラットの試験では経口毒性が指摘されています」
しかも厚労省の発表では、基準値を上回っているにもかかわらず、一部が国内に流通してしまっているという。これは氷山の一角だ。同省によると、今年1月から6月18日までの間に、中国産食品で食品衛生法に違反していたケースは42件もあった。
最も多く見られたのは「アフラトキシン」の検出だ。
「『アフラトキシン』は、カビによって生成される化学物質で、急性肝臓障害や発がん性が指摘されています。特に発がん性に関しては、国際がん研究機関によるリスク評価で、最も危険性が高いグループに分類されています。カビ毒のため、どこにでも発生して増殖する恐れがあり、やっかいなことに、加熱調理をしても毒性は消えません」(前出・丸橋さん)
◆コロナも影響した
犠牲者も出ている。2019年8月、中国の杭州で40代の夫婦が食中毒で緊急搬送され、妻が死亡した。夫によると原因は「落花生を食べたことかもしれない」という。病院側は、アフラトキシンによる食中毒の可能性を指摘している。
そのアフラトキシンが、日本へも入り込もうとしていたのだ。さる流通ジャーナリストが解説する。