新型コロナによる販売減で経営難に陥る企業が相次ぐアパレル業界。それは国内に限らず海外の大手ブランドも同様だ。スウェーデン発のファストファッションチェーン、H&M(エイチ・アンド・エム)も2019年上期の決算で大幅な赤字に転落し、世界中で店舗閉鎖を計画しているという。だが、不振の原因は決してコロナのせいばかりではない。ファッションジャーナリストの南充浩氏がレポートする。
* * *
コロナによる店舗休業や外国のロックダウンを受けて、アパレル各社の今春の業績はガタガタになっています。他のアクシデントと異なり、コロナショックは主要国ほとんどで起き、特に欧米では日本よりも被害が甚大でしたから、国内アパレルだけではなく海外のアパレルブランドも相応のダメージを受けています。
海外アパレルの上位3社であるZARA(インディテックス)、H&M、ユニクロ(ファーストリテイリング)も同様の厳しい業績ですが、ファーストリテイリングは他の2社と比べて落ち込みは軽微です。インディテックスも落ち込んでいますが、コロナ以前は業績が好調に推移していましたから、世界1位の業績は堅持できるでしょう。
しかし、2位のH&Mは今後も苦戦が予想されます。このところ業績が悪化傾向で推移していたところへ新型コロナショックですから、かなり見通しは厳しいといえます。3位だったファーストリテイリングは以前からH&Mを射程圏内に捉えていたので、ついに追い抜くことができるかもしれません。
H&Mの苦戦とその原因について、業績や店頭での販売動向などを見ながら考えてみたいと思います。