五輪に左右される「湾岸エリア」

 もうひとつは、五輪開催エリアで分譲された江東区(東京都)有明エリアのタワマン群。ここは2013年の東京五輪開催決定で一気に人気化して、高価格なのに短期間で完売してしまった物件が多い。

東京五輪の開催が決まって以降、人気エリアになった東京・有明地区(時事通信フォト)

東京五輪の開催が決まって以降、人気エリアになった東京・有明地区(時事通信フォト)

 2021年に五輪が開催されれば世界の注目を浴びるエリアではあるが、そもそも交通利便性が低いエリアでもある。特に五輪の競技会場がいくつも設けられているあたりの利便性の悪さは、一度でも訪れると誰もが実感する。

 たとえ2021年に五輪が開催されたとしても、その後は“祭りの後”状態。五輪が中止になれば「不運な過去」を持つエリアになってしまう。そういったエリアで販売されている新築タワマンの価格も文京区水準で、今になると、そのアンバランスさが際立っている。やはりコロナ不況の本格的な到来とともに、調整は免れないだろう。

 郊外に目をやると、「複合開発」の美名のもとに、実力以上の価格で販売されている千葉県の海浜幕張エリアも価格の下落が想定される。

開発が進みタワマンも増えている千葉・海浜幕張エリア(時事通信フォト)

開発が進みタワマンも増えている千葉・海浜幕張エリア(時事通信フォト)

 首都圏マンションの資産価値は、基本的に「どの駅から徒歩何分か」というスペックで決まる。駅から15分以上も歩く物件の資産価値は希薄である。新築時には莫大な広告費を使うので何とか買い手がつくが、築10年になった時に売却するのは個人。広告費なんてかけられない中で、「徒歩15分以上」というスペックはきつすぎる。

 この7年の間に進行したマンションの局地バブルは、人々の冷静な目を曇らせた。本来の実力以上に値上がりしている状況を「仕方がない」、あるいは「この先はもっと値上がりする」と受け容れてしまった。それがまた、バブルを助長させたといえる。その証拠に、東京よりも価格に対する眼が厳しい大阪では、バブルというほどの値上がりはほとんど見られなかった。

 今後、コロナ不況はマンション市場を適正化する。その過程で厳しい調整(暴落)が避けられないのは、より“バブル的”に価格を上げてしまったエリアの物件である。

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