誰もが夢見るものの、なかなか現実にならない夢の馬券生活。調教助手を主人公にした作品もある気鋭の作家、「JRA重賞年鑑」にも毎年執筆する須藤靖貴氏が、競馬新聞における予想の読み解き方についてお届けする。
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新聞なんてものは見出しを眺める程度で真剣に読まないものだ(すごい決めつけだな)。ところが競馬新聞、スポーツ紙の競馬欄は事情が違う。ファンはここを一字一句、精読する。
その独特の短い言い回しに注目し、各紙を読み比べてみた。5紙くらい精読するとかなり疲れます。でもこれが面白いんだな。新聞が溜まるからカミさんには訝られるけど。
前回で触れた不人気馬の評価はそれぞれ濃淡があったわけだが、単勝オッズ1倍台の人気馬は似たり寄ったり。まあ、そうなっちゃうんだろう。
ある重賞の大本命馬は「スケール大」「展開不問の末脚」「強さ掛け値なし」「能力怪物級」「弱点見当らず」。選挙の立候補者みたいな誉め言葉オンパレード。この馬はちゃんと勝ち切ったからいいけど、もしダメなら任命責任を問われるくらいの強い表現である。言葉の強さで馬券を買うファンが少なからずいるはずだ。
オッズ1倍台の凡走、あるある。