2017年から3年連続で国内新車販売台数トップをひた走るホンダの軽自動車「N-BOX」。コロナ禍の今年上半期(1~6月)も累計10万1454台と、軽自動車2位のスズキ「スペーシア」(6万5323台)、普通車首位で総合4位のトヨタ「ライズ」(5万8492台)などの後続に大差をつけて独走中だ。だが、ホンダはこの状況に喜んでばかりもいられないという。一体どういうことなのか。自動車ジャーナリストの井元康一郎氏がレポートする。
* * *
ホンダの「N-BOX」は屋根の高さが1.8m前後の、俗に言う軽スーパーハイトワゴンだが、人気なのはN-BOXだけではない。今年上半期の新車販売総合ランキングでも1位N-BOX、2位スズキ「スペーシア」、3位ダイハツ「タント」と、新車販売のトップ3を軽スーパーハイトワゴンが独占した。
そんな人気カテゴリーだけに、軽自動車を手がけるメーカーは商品力向上に血道を上げている。はっきり言って、軽スーパーハイトワゴンにはハズレがない。これでもかというくらい工夫が盛り込まれており、完成度はどれも素晴らしいのである。
軽スーパーハイトワゴンの秀逸さ
全長たった3.4mという軽自動車サイズのきつい制約があるにもかかわらず、車内は信じ難いほどにだだっ広く、シートアレンジも豊富。リムジンのように後席の足もと空間を広くすることも、荷物を大量に載せることもできる。電動スライドドアも幅広く装備されている。
これだけでもミニカーとしては世界に類例のないことだが、この程度はどのモデルでも朝飯前だ。今どきの軽スーパーハイトワゴンはその先の領域で戦っている。
2003年に登場した軽スーパーハイトワゴンの元祖、タントは高齢者が運転したり、運転できなくなった高齢者が同乗したりするときの動作を産学共同で人間工学的に突き詰め、使いやすさを極限まで追求している。
また、スペーシアはファミリーを含めた若年層が喜びそうなポップで活動的なイメージの内外装のデザインを持つ。日産「ルークス」は狭さを感じさせない内装デザイン、そして全車速で機能する前者追従型クルーズコントロールをはじめとする高度な運転支援機能を持つ。